2023 Fiscal Year Research-status Report
不均一系触媒作用を目指した無機キラルナノスクロール創製への挑戦
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20K21090
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
佐藤 久子 愛媛大学, 理学部, 研究員 (20500359)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
會澤 純雄 岩手大学, 理工学部, 准教授 (40333752)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2025-03-31
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Keywords | 無機キラリティ / 赤外円二色分光法 / 光学分割 / 粘土鉱物 / 層状複水酸化物 |
Outline of Annual Research Achievements |
キラル物質の一方の型(エナンチオマー)を得ることは高度な分子認識機構が必要である。本研究では、新しい修飾剤として、不斉合成で用いられているCu(II)錯体 ([Cu(RR- or SS-oxa)]2+ (oxa = 2,2′-isopropylidene-bis(4-phenyl-2-oxazoline))を合成した。メタノール溶媒に分散した球状合成ヘクトライトにCu(II)錯体を加えてろ過し、粘土鉱物と錯体とのイオン交換体を得た。得られた青緑粉末をステンレスチューブ(5 cm × 4 mm (i.d.))に充填してカラムとした。分割能を調べるために、光学活性な中性金属錯体として他の方法では分割困難な[Co(acac)3] (acacH = 2, 4-pentanedione) を選んだ。溶離曲線は二つのピークを示し、各ピークで分取したサンプルを円偏光分光スペクトルで分析した。この結果、この錯体のほぼ完全な光学分割に成功したことが確かめられた。第1原理シミュレーションから、[Cu(SS-oxa)]2+の配位不飽和サイトが不斉識別を行っていることがわかった。さらに、各種の光学活性な有機分子の光学分割にも成功した。この結果は産業界でも要求の大きい光学分割カラムとして、環境にやさしい粘土鉱物を用いており実用的にも有望であることを示したこの内容で論文化およびプレスリリースをおこなった。 また、フェニルアラニン(Phe)と酒石酸(Tart)の二種類の光学活性物質を取り込んだPhe/Tart/LDHの合成を試み,固体赤外円二色性分光法を用い,Phe/Tart/LDHのゲスト-ゲスト間またはホスト-ゲスト間の相互作用を解明した。この結果を論文化およびプレスリリースをおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
論文化および書籍出版につなげた。さらに、無機物質のみのキラリティ創成にむけて最終検討中である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の最終目標はキラル有機分子/無機層状化合物から無機物質のみで構成されるキラル材料を創製することである。キラル触媒の配位子として用いられている、リン酸水素-1,1’-ビナフチル-2,2’-ジイル (BNDHP) をLZHの層間に取り込んだBNDHP/LZHの合成ならびにBNDHP/LZHの焼成によるリン酸亜鉛の合成や解析方法を検討する。
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Causes of Carryover |
コロナの影響もあり、物品調達や、出張が制限されていたため。今後は部品調達をもとにVCD装置調整や成果発表(国際学会)を行う予定です。
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