2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of new electrochemistry based on synthesis of hydroxide ion conductive ionic liquids
Project/Area Number |
20K21094
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
棟方 裕一 東京都立大学, 都市環境科学研究科, 助教 (00457821)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | イオン液体 / 水酸化物イオン / 酸素還元 |
Outline of Annual Research Achievements |
新規な電解液系として水を含有しない水酸化物イオン伝導性イオン液体を創製し、水が介在しない環境下での水酸化物イオンの電気化学を明らかにすることを目的に研究を実施した。本年度はイミダゾリウム塩をベースとした水酸化物イオン伝導性イオン液体の合成に取り組み、電気化学反応の評価が可能な純度を確保するための合成方法と精製方法の最適化を行った。水が介在しない環境下の電気化学として、燃料電池の中温無加湿作動および触媒の非白金化を視野に、本イオン液体中の白金およびグラッシーカーボン電極上における酸素還元反応を評価した。これまでに報告されている硫酸や過塩素酸などの水溶液系では、グラッシーカーボン電極に比べて白金電極が優れた酸素還元能を示すが、本イオン液体中では反対の序列、すなわちグラッシーカーボン電極が白金電極に比べて優れた酸素還元能を示した。炭素電極の可能性を探索するため、窒素をドープしたグラフェンを合成し、触媒としての活性を評価したところ、さらに優れた酸素還元触媒能が確認された。酸素還元の開始電位がより貴になると共に、酸素還元電流値も増加した。窒素をドープしたことで、炭素表面の電子状態が変化し、酸素還元能が高まったと推測される。30 °C~120°Cの温度域で評価を行い、温度の上昇に伴って触媒活性が向上することも確認した。回転リングディスク電極を用いた評価から、酸素還元に関係する反応電子数は概ね4と見積もられた。燃料電池触媒の非白金化に貢献しうる大きな成果が得られたと判断している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍で実験系の研究活動が大幅に制限された状況であったが、文献調査や理論計算等の調査研究が功を奏し、少ない実験量で目的とする成果を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
燃料電池触媒の非白金化に資する大きな成果が得られたので、その起点となっているグラフェン系触媒の探索をさらに強化して進める。異なる構造の水酸化物イオン伝導性イオン液体の合成ついてもアイデアがあるため検証していきたい。
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