2020 Fiscal Year Research-status Report
Fabrication process for three-dimensionally periodic structure of plasmonic nano-clusters formed in a confined space
Project/Area Number |
20K21097
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
長尾 大輔 東北大学, 工学研究科, 教授 (50374963)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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Keywords | プラズモニック / ナノ粒子 / 周期構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
制限空間の無い液中で凝集し得られたナノ粒子クラスターは不均一である。一方、制限空間に閉じ込めたナノ粒子間で生じる凝集は、その空間的な拡がりの影響を受けながらクラスター化する。このような特徴を活かし本研究では、粒径均一性の高い、すなわち単分散な微粒子が形成する周期的な制限空間に、ナノ粒子を集めて、その後、温和な加熱によって接合させる、均一ナノクラスター作製プロセスを提案する。ナノ粒子としてはプラズモニックナノ粒子を採用する。制限空間におけるナノ粒子への熱処理によって、プラズモニックナノ粒子の3次元周期構造体を簡便なプロセスで作製することをねらう。プラズモニックナノ材料の周期構造体作製プロセスの構築に向け、本年度は非最密な状態(互いに接触しない状態)で2次元規則配列させた金ナノ粒子集積体の層数が吸収波長スペクトルに及ぼす影響を、有限要素法による計算により調べた。計算では、面心立方格子(111)面のヘキサゴナル構造を仮定し、(111)面内の球状金ナノ粒子の2次元配列体が複数層重なったときに生じる吸収スペクトルの変化について検討した。球状金ナノ粒子の空間的配置を維持する材料としてはシリカを選定した。(111)面内に存在する球状のナノ粒子間距離が、吸収スペクトルに及ぼす影響についても合わせて検討した。このような検討により、太陽光から電気へのエネルギー変換に適するプラズモニックナノ材料の3次元周期構造を特定することをねらった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
有限要素法に基づいた計算より2次元金ナノ粒子集積体の層数が吸収スペクトルに及ぼす影響を調べた。単一状態の金ナノ粒子からは波長530 nm付近にブロードな吸収ピークが得られたが、2次元ナノ粒子集積体においては、その層数を増やしていくと、その吸収波長ピークが530 nmよりレッドシフトするようになった。また、層数を3以上に設定すると、観測される吸収波長ピークの数が層数によって異なる傾向を示した。さらに、(111)面内に存在する球状のナノ粒子の間隔を拡げていくと、ある距離まで粒子間距離を拡げると吸収スペクトルがレッドシフトしながら先鋭化する傾向が得られ、均一形成が期待されるナノ粒子の空間配置について大まかな方針を示すことができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
有限要素法による計算結果をもとに、次年度は単分散な微粒子が形成する周期的な制限空間におけるナノ粒子接合を試みる。具体的には、ナノ粒子を集めて、その後、温和な加熱によって接合させる。これにより、均一ナノクラスター作製プロセスを構築する。球状ナノ粒子とともに、非球状のナノ粒子を制限空間に閉じ込めることで、可視から近赤外領域に幅広い光吸収を示す金ナノ接合体3次元周期構造体の作製を試みる。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大により国内外出張が長期的に制限され、計上した旅費をほとんど執行できなかった。執行できなかった予算は、メゾスケールでの周期構造評価にも適用可能な小角X線散乱の解析アプリケーション拡張のために使用する計画である。
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Research Products
(7 results)