2020 Fiscal Year Research-status Report
超音波を活用したコポリマーの構造制御に基づく新規な特性改質・制御法の開拓
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20K21098
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
久保 正樹 東北大学, 工学研究科, 准教授 (50323069)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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Keywords | 超音波 / コポリマー / 分解 / 温度応答性 / 特性改質 |
Outline of Annual Research Achievements |
ポリN -イソプロピルアクリルアミド(PNIPAM)は相転移温度(下限臨界溶液温度:LCST)を有する温度応答性ポリマーであり、アクチュエーター、センサー、ドラッグデリバリーシステムの材料など、様々な応用が期待されている。PNIPAMは、ポリメタクリル酸2-ヒドロキシエチル(PHEMA)など他のポリマーと共重合させることによって機械的強度が付与される。温度応答性コポリマーは、用途に応じて、応答温度と機械的強度の両方を設計することが要求される。 本研究では、コポリマーを含む溶液に超音波を照射するという簡便な方法を用いてコポリマーの特性改質を行う方法の開発に挑戦する。超音波は制御性が極めて高く、スイッチのOn/Off制御によって反応の開始・停止を容易に制御することができる、超音波強度の変更によって反応速度を容易に制御することができるという特長を有する。本年度は、「超音波照射条件」と「合成コポリマーの特性」との関係について検討した。温度応答性の指標として、生成コポリマーを含む溶液の透過率の温度依存性から求められる、下限臨界溶液温度LCSTを測定した。その結果、超音波照射時間によってコポリマーの応答温度が変化するとともに、応答に必要な温度変化の値が小さくなる、すなわち温度応答性が鋭くなることを明らかにした。また、超音波強度が高いほど、応答温度を大きく変化させるとと同時に、いずれの超音波強度でも応答温度が鋭いコポリマーが得られることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、コポリマーを含む溶液に超音波を照射するという、簡便ながらも制御性の高い手法を用いて、コポリマーの特性を制御することを目的としている。そのためには、超音波照射条件によってコポリマーの特性がどのように変化するかに関する知見の獲得、データの蓄積が重要である。 本年度は、約半年という短期間ながら、種々の超音波照射強度、超音波照射時間、コポリマー濃度などの操作因子を変更して、処理したコポリマーの温度応答性に関するデータを取得し、「超音波照射条件」と「コポリマーの特性」との関係、という、本研究の核となる知見の獲得に成功した。よって、概ね順調に進展していると評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、コポリマーのブロック性など、シーケンスに関する知見の獲得ならびに溶液中におけるコポリマーの状態に関する知見の獲得を行う。そして、獲得した知見を統合することで、超音波照射条件を制御することによってコポリマーの特性を自在に設計するコポリマー特性改質プロセスを確立に挑戦する。
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Research Products
(1 results)