2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K21099
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
中村 潤児 筑波大学, 数理物質系, 教授 (40227905)
|
Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
|
Keywords | メタノール合成 / Cu触媒 / 反応ダイナミクス / 振動励起 / 表面科学 |
Outline of Annual Research Achievements |
CO2の水素化によるメタノール合成は、CO2の有効利用と水素社会構築に関わる重要な触媒反応と期待される。本反応における課題は平衡転化率の向上であり、反応温度の低下を上げるためには、反応温度の低温化が不可欠である。本研究の狙いは、メタノール合成反応をformate中間体の前後の2つの部分に分け、ぞれぞれを低温で効率よく反応を進行させようとする試みである。formate生成は触媒を低温に保ちCO2分子を熱的に励起して反応速度を向上させるものであり、formateの水素化反応は反応メカニズムを理解したうえで低温での速度向上を目指す。これまでの研究の大きな成果は、fomate水素化過程のメカニズムとダイナミクスがかなり明らかになってきたことである。すなわち、formateをギ酸を用いてCu(111)表面に生成させておき、次に、原子状水素を210~250 Kという低温でformateと反応させる。これにより、不安定なメタノール合成中間体を検出しようという実験を行った。その結果、吸着ジオキシメチレン種(CH2OO)およびホルムアルデヒド(CH2O)を検出することに成功した。この結果は、formate種(HCOO)が原子状水素によって水素化されたことを示している。この反応の速度を解析して、活性化エネルギーなどを求めてポテンシャルダイアグラムを作成することができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
メカニズムに関する研究は進展しており、formate水素化における不安定反応中間体の特定に成功した。これは非常に大きな研究成果である。一方、反応器製作の方が完成しておらず、現在立ち上げ中である。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在、メカニズムに関する論文をJACSに投稿中であり、好意的な評価を得ている。この論文が受理されるように努力することが第一の仕事である。もう一つは、低温反応器の作製である。CO2のみを熱的に励起する高圧流通式反応器を早期に立ち上げて試験実験を行いたい。
|
Causes of Carryover |
高圧反応器による低温メタノール合成の実験が遅れたためである。超高真空装置を用いたメタノール合成反応素過程の研究において非常に大きな進展があり、その研究に多くの時間と労力を要した。一方、低温メタノール合成の実験は是非遂行したいところであるので、研究期間を延長することとした。予算は、高圧反応器を用いたメタノール合成実験に使用する予定である。
|
Research Products
(4 results)