2020 Fiscal Year Research-status Report
Demonstration of an integrated cell processing device that revolutionizes minimally invasive prenatal diagnosis
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20K21100
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
関 実 千葉大学, 大学院工学研究院, 教授 (80206622)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 真澄 千葉大学, 大学院工学研究院, 准教授 (30546784)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | マイクロ流体デバイス / 医療診断 / 細胞分離 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の1年目に当たる2020年は,細胞の効率的な捕捉および溶液交換のための新規デバイスを設計・作製し,また同時にそのための新規材料開発を行った。まず細胞の捕捉を行うセレクターとしては,細胞のサイズと比較して厚みの薄い平板状流路を並列化したマイクロ流体デバイスを設計・作製し,その効率を評価した。血液サンプルにスパイクした特定の細胞を高効率に捕捉できることを示した。さらに細胞が捕捉された状態において免疫化学染色を行うことで細胞の同定を行うことが可能であり,細胞の検出装置(ディテクター)としての有用性も確認できた。また他の手法として,スポンジ状シリコーン基材を組み込んだマイクロ流体デバイスを作製し,同様に細胞のトラップを行ったところ,細胞の捕捉および細胞内分子の染色操作を実施できることが確認された。さらに,細胞の溶液交換デバイス(溶液エクスチェンジャー)の設計と実証を行った。これまでに開発を行った水力学的濾過法に基づく溶液交換システムに加えて,より高効率・高処理量な溶液交換を実証するために,上記と同様のスポンジ状材料を組み込んだ流路構造を開発した。標準微粒子を用いた実験を行ったところ,直径数マイクロメートルの閾値以上の粒径をもつ粒子に対して,連続的な溶液交換を実現することができた。また,特に血液細胞を対象とした応用として,血液中の白血球の濃縮と赤血球の効率的な除去を行うことができ,白血球と同程度のサイズを有する有核赤血球の分離精製および溶液交換・化学処理への適用可能性を示すことができた。なお現時点では,溶液交換における導入流量比を精密に制御する必要があるため,今後は溶液交換をより効率的に行うためのスポンジ材料の最適化や流路設計指針の開発を合わせて行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍下において実験の進捗遅れが懸念されたが,ほぼ当初の想定通り細胞を捕捉するための新規構造の提案を行い,その有用性を実証できたほか,溶液交換のための新規基材の開発を行うことができた。特に血液細胞を対象とした細胞捕捉などの実験を効率的に行い,細胞分離・染色を行うことができたほか,他の細胞分離への適用可能性などの副次的な成果も得られた。現時点では,「溶液エクスチェンジャー」および「細胞セレクター」の直列接続システムについて開発途上であり,また溶液交換のための材料や流路設計についても改善の余地があるものの,以上の結果をふまえると概ね想定通りに研究が進展したものと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に引き続き,細胞セレクターおよび溶液エクスチェンジャーの開発を行いつつ,この語は特に処理量および細胞操作効率の向上を図る。また,細胞ディテクターにおける細胞トラップの高効率化を目指し,新規捕捉原理の実証を行う。細胞セレクターとしては,これまでに開発を行ってきた「水力学的濾過法」の原理に基づく流体デバイスについて,その処理量と精度を向上するための流路構造の最適化を行う。さらに,溶液交換システムについては,多孔性材料を組み込んだマイクロ流路構造について,その作製手法を見直し,処理量と再現性の向上を図る。さらに対象を血液細胞とした組み込む細胞トラップ構造としては,薄層平板型のみならず,連通する微細孔を形成した構造を新規に開発し,簡便かつ高効率な細胞の検出を実証したい。特に,犠牲材料として微粒子を用いた流路構造の作製を行い,選抜対象となる細胞に対して有効な粒子径や材料を検討する。これまでと同様に主に株化細胞を用いて,その有用性を検証する。また,ヒト末梢血サンプルを対象とした分離・染色・検出実験を行い,特に流路の統合化による一連の操作の直列接続を試みる。またデバイス開発の進捗によって,ヒト末梢血細胞の利用を行う予定である。さらに,fluorescence in situ hybridizationへの適用性を検証するための生化学実験を進める。
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