2020 Fiscal Year Research-status Report
革新的酸化反応プロセスの構築を指向するカラムフロー電解基盤技術の創出
Project/Area Number |
20K21106
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
跡部 真人 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 教授 (90291351)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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Keywords | カラムフロー電解 / 電解酸化 / 電極触媒 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では既往の酸化反応プロセスに代わり得る化学品生産プロセスの構築を目指し、常温・常圧でありながら電位制御により高度な酸化反応が実施でき、連続的かつ効率的な生産も実現できるカラムフロー電解基盤技術を世界に先駆け創出することを目的としている。 令和2年度は有機物の電解酸化に対して高活性が見込まれるAuナノ粒子を、カラム電極に充填されるカーボンファイバー上へ電析・担持させる方法を検討した。具体的には、AuナノコロイドをAu粒子の種核とする電気化学的種核成長法によりAuナノ粒子修飾電極を作製した。作製されたAuナノ粒子修飾電極は、電極自体が肉眼でも黒色から黄金色に変化している様子が確認された。また、SEM観察の結果からAuナノ粒子は電極表面に均一に分布しており、その平均粒子径は159 nmであることも分かった。さらに、電気化学測定によりAuナノ粒子触媒の総表面積は1,032 cm2と算出され、非常に大きな電極触媒表面積を有することが確認された。作製されたAuナノ粒子修飾カラムフロー電解を用いて、芳香族及び脂肪族アルコールの酸化反応を実施したところ、生成物であるアルデヒドあるいはカルボン酸を高効率に合成できることが実証された。また、Au以外の高酸化電位状態において溶解せずに安定的に活性酸素種を発生し得ると考えられる、Pt, Rh, Ru, Irおよびこれらの合金系粒子触媒についても,アルコール酸化に対する電極触媒特性と酸化活性の相関関係を検討したところ、Au触媒がアルコール酸化に対する高活性,高選択性を示す最適触媒であることが証明された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和2年度に予定していたカラム電極に充填されるカーボンファイバー上へのAuナノ粒子の電析・担持させる方法については、すでに予定通り確立された。また、Au以外の高酸化電位状態において安定的に活性酸素種を発生し得ると考えられる、Pt, Rh, Ru, Irおよびこれらの合金系粒子触媒についても,アルコール酸化に対する電極触媒特性と酸化活性の相関関係が解明され、予想通り、Au触媒がアルコール酸化に対する高活性,高選択性を示す最適触媒であることを証明できた。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度は「常温・常圧酸化反応プロセス構築のためのカラム電解技術の開発」を目標に掲げ、Au触媒が修飾されたカラムフロー電解を用いて常温・常圧下でシクロヘキサンの酸素官能基化を実施し、シクロヘキサノンとシクロヘキサノールの混合物であるKAオイルの合成を達成する。また、カラムフロー電解を用いたオレフィン類の電解エポキシ化も実施する予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が「0」より大きな理由は、学会出張等による旅費分が浮いたことによるものである。次年度はこの余剰分を旅費および消耗品費に充当する予定である。
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