2020 Fiscal Year Research-status Report
超撥水性オルガノシリカ構造設計と薄膜化によるアルコール高選択透過膜の創製
Project/Area Number |
20K21112
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
金指 正言 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 准教授 (10467764)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | オルガノシリカ / 薄膜 / 超撥水性 / 吸着ブロッキング / 浸透気化特性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,分子サイズが大きい分子が選択的に多孔膜を透過する分子選択性を付加した機能性高選択透過膜を創製し,バイオエタノール製造プロセスにおけるアルコール濃縮への応用を目指す。水よりも分子サイズが大きいアルコールを多孔膜では優先透過させることはできないため,吸着親和性とネットワークサイズを考慮したアモルファス材料の膜構造設計を提案し,申請者が提案したサブナノ細孔における透過モデルで,液体透過性とネットワークサイズを評価し,ネットワーク構造の化学的・物理的性質とアルコール/水透過性を定量化する。本年度は,ゾル-ゲル法によりシリカ系材料をベースとして,疎水性を示すことが期待される側鎖型のmethyltriethoxysilane (MTES)や(3,3,3-trifluoropropyl)trimethoxysilane (TFPTMS) を用い疎水性オルガノシリカ膜を作製した。疎水性側鎖がネットワーク構造やアルコール透過特性に及ぼす影響について評価した。MTES,TFPTMSゲルは,水接触角が100°程度で高い疎水性を示した。また,分子サイズが大きいEtOH(エタノール)吸着量が,H2O吸着量よりも多く,アモルファス構造を疎水化することで,アルコール吸着選択性を示すことが明らかになった。MTES,TFPTMSゾルを用い,crack-freeで多孔質基材上に薄膜製膜できることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では,分子サイズが大きい分子が選択的に多孔膜を透過する分子選択性を付加した機能性高選択透過膜を創製し,バイオエタノール製造プロセスにおけるアルコール濃縮への応用を目指している。水よりも分子サイズが大きいアルコールを多孔膜では優先透過させることはできないため,吸着親和性とネットワークサイズを考慮したアモルファス材料の膜構造設計が重要になる。本年度は,ゾル-ゲル法によりシリカ系材料をベースとして,疎水性を示すことが期待される側鎖型のmethyltriethoxysilane (MTES)や(3,3,3-trifluoropropyl)trimethoxysilane (TFPTMS) を用い疎水性オルガノシリカ膜を作製した。疎水性側鎖がネットワーク構造やアルコール透過特性に及ぼす影響について評価した。MTES,TFPTMSゲルは,水接触角が100°程度で高い疎水性を示した。また,アモルファス構造を疎水化することで,分子サイズが大きいEtOH(エタノール)吸着量が,H2O吸着量よりも多く,アルコール吸着選択性を示すことを明らかにし,多孔質基材上への製膜が可能であることを明らかにしたため,おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は,アルコール吸着選択性を示すことが明らかになった,側鎖型のmethyltriethoxysilane (MTES)や(3,3,3-trifluoropropyl)trimethoxysilane (TFPTMS)をSi前駆体として用いて,多孔質基材上に製膜した薄膜の透過特性を評価する。具体的には,気体透過率の分子径依存性よりオルガノシリカネットワークサイズを定量化し,水/アルコール系の浸透気化特性を評価する。十分なアルコール選択性が発現しない場合は,適宜Si前駆体の変更を行う予定である。アモルファス構造を超撥水化することで,アルコール吸着選択性が向上すると考えられるので,MTES, TFPTMS構造のさらなる疎水化についても検討する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの感染拡大により,情報収集で参加予定だった国際学会,国内学会の多くがキャンセル,開催延期になったため,旅費,参加費などの支出がなかった。本年度は,研究を加速化させるために,博士研究員を雇用予定であり,人件費を計上している。実験装置関係は既存の装置を使用予定であるため,設備費の申請はないが,実験を遂行する上で必要な製膜試薬,高純度試験ガス,配管材料などの消耗品は,物品費として計上している。
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