2022 Fiscal Year Annual Research Report
銀原子の流動によるパーコレーション構造形成と伸縮性導電材料の製法革新
Project/Area Number |
20K21127
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
中西 英行 京都工芸繊維大学, 材料化学系, 教授 (20619655)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | 電気伝導率 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に引き続き、研究目的と研究実施計画に沿って、銀ナノ粒子を利用した伸縮性導電材料の作製と解析を行った。前年度までの研究で開発してきた方法をさらに改良し、エラストマーに銀を導入した。銀の導入量はある一定のほぼ等しい値を示すが、エラストマーの表層付近で局所的に銀の濃度が高い試料と、エラストマー全体に均一な濃度で銀が分布した試料の2つを比較した。なお、銀の濃度分布は、走査型電子顕微鏡や、エネルギー分散型X線分光法によって調べた。また、エラストマーに含まれる銀の量は、ICP-OES(誘導結合プラズマ発光分光分析)を用いて計測した。応力ひずみ関係を調べた結果、表層付近に制限して銀を導入した試料は、銀を導入する前のもとのエラストマーと比べて、破断歪みが20%程度減少したが、応力ひずみ関係はそれとほぼ同じ曲線を描いた。それに対して、エラストマー全体に銀を導入した試料は、もとのエラストマーと比べて、伸長下において高い応力を示し、破断歪みは50%程度まで減少し、明らかに硬く、破断しやすくなった。電気伝導率に関しては、自然長において、表層付近に制限して銀を導入した試料は、10^3 S/cm以上の高い値を示したが、均一に銀を導入した試料は、10^-4 S/cm程度の低い値に留まった。なお、初期電気伝導率が10^3 S/cm以上の試料は、150%程度まで伸長させても、10^2 S/cmから10^3 S/cmの間の電気伝導率を維持し、良好な伸縮性と電気伝導性を示した。以上のように、試料の性質は作製方法に強く依存し、適切な方法を用いると、優れた性質を持つ伸縮性導電材料の作製が可能であった。
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