2021 Fiscal Year Annual Research Report
電子状態操作による反応領域選択型マルチスケール固相反応プロセスの創出
Project/Area Number |
20K21129
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
佐藤 和久 大阪大学, 超高圧電子顕微鏡センター, 准教授 (70314424)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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Keywords | 内殻電子励起 / 局在表面プラズモン共鳴 / 格子変調 / 固相反応 / 電子状態 |
Outline of Annual Research Achievements |
アモルファスSiO2薄膜中にCuまたはAuナノ粒子を包埋した試料を用いて、可視光領域のレーザー照射ならびに75keV電子照射を行い、局在表面プラズモン共鳴(LSPR)と内殻電子励起により誘起される界面固相反応について研究を行った。 粒径10nmサイズのCuナノ粒子に、電子顕微鏡内で室温で波長405nmのレーザー光(出力30-90mW)を照射したが、Cu(111)面間隔に変化は見られなかった。レーザー照射・像観察中の照射電子(75keV)のドースレートは約10^22e/m2sである。粒径5nmサイズの場合にも同様に変化はなかったが、波長532nmのレーザー(出力36mW)を照射すると室温で(111)面間隔が0.14%増加した。一方、75keV電子照射(10^24e/m2s)を行うとCu15Si4相が生成した。内殻電子励起によるSiO2の解離に起因すると考えられる。 粒径10nmサイズのAuナノ粒子に室温で波長405nmのレーザー光(出力30-60mW)を照射したが、Au(111)面間隔に変化は見られなかった。粒径5nmサイズの場合にも同様に変化はなかったが、室温で波長532 nmのレーザー(出力90mW)を照射したところ(111)面間隔が最大0.7%増加した。また、75keV電子照射によりAu-Si化合物(準安定)が生成した。 CuとAuナノ粒子はそれぞれ約570nm、520nm付近に吸収ピークを持つことから、532nmレーザー光照射による格子変調はLSPRの発現に起因すると考えられる。 以上の結果、照射電子のドース量が閾値以下の場合(約10^23e/m2程度)、レーザー照射により格子面間隔は膨張するが金属シリサイドは形成されないこと、ドース量が閾値を超えると(約10^26e/m2程度)、電子照射のみで金属シリサイドが形成されることが明らかになった。
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Research Products
(6 results)