2020 Fiscal Year Research-status Report
生物応用に向けた常温・常圧・水中ではたらく合成分子モーターの設計と合成
Project/Area Number |
20K21131
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
ラッペン ゲナエル 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (60812576)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安原 主馬 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 准教授 (90545716)
西野 智雄 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 助教 (60824878)
尾本 賢一郎 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 特任助教 (40820056)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | 分子マシン / テクノミメティクス / 分子モーター / 生物活性 / 超分子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、研究代表者らがこれまでに開発した単一方向にのみ回転できる合成分子モーターの力学的作用を利用した生物活性の誘導・制御に挑戦する。具体的には、細胞膜に作用する分子モーターを新たに設計・合成し、その回転によってもたらされる膜構造や物性の攪乱について、物理化学的および生化学的手法により評価を行うことで、分子スケールでのミクロな力学に基づいた新しい生物活性分子の提案を目的とした。本年度は、細胞膜に作用する分子モーターとして、分子内に4つのカチオン性ユニットを有する配位子と長鎖アルキル基を導入した配位子が、金属イオンをサンドイッチした構造の新たな両親媒性分子モーターの設計・合成に着手し、いくつかの化合物が得られている。同時に、分子モーターの回転を評価するための蛍光色素修飾に関しても検討を開始した。また、得られた合成分子モーターを評価するためのモデル膜系について、ミセル・ベシクル・平面二分子膜・ナノディスクを用いた手法を確立した。また、生物活性の評価を目的として、培養細胞を用いた評価系を構築した。今後は細胞膜に導入した際の分子モーターの挙動の追跡を可能にするためBODIPYなどの蛍光発色団を導入した分子を完成させる。また、生体により近い条件で分子モーターの動作を外部トリガーによってON/OFFできる系を構築するために、光応答性の置換基を導入した分子モーターの合成や用いる金属イオンの最適化について検討を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、常温・常圧・水中で駆動し、細胞膜に作用する分子モーターとして、分子内に4つのカチオン性ユニットを有する配位子と長鎖アルキル基を導入した配位子が、金属イオンをサンドイッチした構造の両親媒性の新たな分子モーターをデザインし、その合成に着手した。本課題を遂行するに際して、COVID-19の感染拡大の影響のため、研究協力者の活動時間が十分に確保できなかったこと、一部の必要な消耗品類の納期が大幅に遅れていることから、研究の進捗に若干の遅れが生じている。次年度においては、このCOVID-19による遅れを取り戻せるよう鋭意取り組む。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までに細胞膜に対して作用が可能な両親媒性の分子モーターの設計・合成を進めており、今後は細胞膜に導入した際の分子モーターの挙動の追跡を可能にするため、蛍光発色団を導入した分子を完成させる。また、生体により近い条件での分子モーターモーターの動作のON/OFFを可能とするために、置換基や用いる金属イオンの最適化について検討を行う。また、実際にモデル膜や生きた細胞膜に分子モーターを導入することで、膜内における分子モーターの回転を評価し、生物活性に繋げたい。
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Causes of Carryover |
COVID-19による研究活動の制限および納品遅れが生じたため、次年度使用額が発生した。残額に関しては、翌年度分と併せて、消耗品等の購入に充てる。
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Research Products
(5 results)