2020 Fiscal Year Research-status Report
Fabrication of functionally graded organic-inorganic nanocomposites for high refractive index
Project/Area Number |
20K21132
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Research Institution | Okinawa National College of Technology |
Principal Investigator |
伊原 博隆 沖縄工業高等専門学校, その他部局等, 校長 (10151648)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永岡 昭二 熊本県産業技術センター(ものづくり室、材料・地域資源室、食品加工室), その他部局等, 研究主幹 (10227994)
桑原 穣 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 助教 (60347002)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2024-03-31
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Keywords | ポリマーコンポジット / 高屈折率材料 / 透明材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
本提案は、太陽電池や人工照明、ディスプレイ、光学レンズ等様々な分野において必要不可欠な光学材料であり、無機ガラスに替わる軽量で成型プロセスに優れる有機・無機ナノ粒子ハイブリッド系材料からなる高屈折率・透明材料の開発を目指す研究である。 これまでは、有機成分としてポリメタクリレート系のポリマーを主に使用してきたが、今年度は産業界からのニーズを考慮し、車装用に利用されている素材として、植物由来のイソソルバイドを原料とするバイオマスプラスチックの一つであり、またバイオエンプラとして期待されている三菱ケミカル社製のDURABIOに焦点を当てて検討を進めた。また、高屈折率源となる無機酸化物としては、リンタングステン酸を用いた。複合化プロセスで必要となる溶媒について9種の材料を検討し、また複合フィルムの調製プロセスについて、濃度、キャスト温度、乾燥温度と時間等を系統的に変化させて基盤となる知見を得た。結果として、DURABIOに対して重量比で85%までのリンタングステン酸の複合化が可能であることを確認し、屈折率については、1.5から1.7の範囲で調整できる透明複合体の作製が可能となることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画では、有機成分としてN-(hydroxyethyl)acrylamideおよびそのポリマーをベースにリンタングステン酸との複合化を検討する予定であったが、同有機材料と並行させて、産業界から強いニーズのある有機材料への適用に応える必要があると判断し、バイオエンプラとして期待されている三菱ケミカル社製のDURABIOに焦点を当てて検討を進めた。同材料は、申請者らにとって想定していなかった有機材料であったが、化学構造的な視点で適用可能と考え、複合化条件を系統的に変化させることによって、最高屈折率において1.7を達成できる透明な複合材料の作製に成功した。この新しい知見は、本申請研究の基盤要素を含んでおり、今後の研究展開上においても重要な指針となりうるため、おおむね順調に進んでいると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2度は、複合化のためのポリマー材料(有機成分)としてバイオエンプラとして期待されている三菱ケミカル社製のDURABIOに焦点を当てて検討を進めた結果、透明な複合材料が調製できること、無機酸化物の添加量を調節することにより屈折率において1.5から1.7までの間で調整可能なことが判明した。そこで令和3年度は、無機酸化物の添加可能量を増大させ、より高い屈折率を実現するため、有機成分として、N-(hydroxyethyl)acrylamideやN-(hydroxymethyl)acrylamide、N-[tris(hydroxymethyl)methyl]acrylamide、acrylamideとN-(hydroxyethyl)acrylamideとの共重合体を適用し、複合化のためのバリエーションの強化を図る。また、本研究のもう一つの研究目標である二相分離の誘起による高屈折率化および屈折率の傾斜機能化にも着手する。
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Causes of Carryover |
(理由)コロナ禍により、予定していた微細構造観察のための出張分析(広島大学、京都大学、ボルドー大学)が滞り、加えて国際会議(Pacifichem 2020.12、米国)での発表が次年度(2021.12)に延期され、成果発表のために必要な追加実験や渡航費が次年度に発生すると判断したため。
(使用計画)成果発表に向けた追加実験や渡航費(出張分析:広島大学、京都大学、ボルドー大学、成果発表:米国での国際会議)として補填する。
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Research Products
(1 results)