2021 Fiscal Year Research-status Report
ウェアラブル型グルコースセンサにむけた低pH駆動型水酸化ニッケル電極触媒の開発
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20K21133
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Research Institution | Saitama Institute of Technology |
Principal Investigator |
丹羽 修 埼玉工業大学, 先端科学研究所, 教授 (70392644)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
芝 駿介 愛媛大学, 理工学研究科(工学系), 助教 (70823251)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | 電気化学センサ / グルコース酸化 / ニッケルナノ粒子 / 電気化学触媒活性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、酵素を用いないウェアラブル型グルコースセンサにむけた低pH駆動型水酸 化ニッケル(Ni)電極触媒の開発を目的とする。報告者らは、窒素化したカーボン電極上にNiナノ粒子を形成すると、電気化学的な触媒活性が飛躍的に向上することを発見した。そこで低圧真空プラズマにより窒素化したカーボン電極にNiナノ粒子を電析され、①カーボンマトリックスとナノ粒子の電気的な相互作用を変化、或いは②Ni粒子を水酸化して触媒活性点を増加させることで、より低いpHでの糖酸化検出をめざす。2020年度では、窒素化したカーボン電極上に形成したNiナノ粒子は、窒素化していないカーボン膜上に形成したNiナノ粒子に比較し、高いオリゴ糖酸化活性を示した。そこで、2021年度は、目的分子であるグルコースを検出対象とし、窒素化カーボン膜と窒素を導入していない膜にそれぞれ電析法で作製したNiナノ粒子の活性をグルコース濃度0~5 mMの範囲で比較した。その結果、前者は、グルコース濃度2 mMの時、約0.5 V付近に酸化ピークが観測されたが、後者では、応答が鈍く、0.6 Vまでピークが観測されなかった。また電流値も前者は、5μA、後者は、約2.4μAと前者がかなり大きく、カーボン膜の窒素化による修飾したNiナノ粒子のグルコース酸化活性の大幅な増加が観測された。そこで、pH12.9から、pH11.8に下げて測定を行った。明瞭にグルコース酸化は観測されたが電流の絶対値は、1/3程度に低下し、pHを下げると活性が落ちることが分った。そこで、カーボン膜に導入する窒素濃度を最適化して修飾するNiナノ粒子の活性を更に向上させることを考え、プラズマ条件を検討した。その結果、窒素導入率をこれまでの1.4%から3.0%前後まで増加させることに成功した。今後、これら窒素濃度の異なる膜上に形成したNiナノ粒子の特性を検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度で、目的物質のグルコースの電気化学的な触媒酸化において、窒素化したカーボン膜上に電析したNiナノ粒子が、窒素化していないカーボン膜に形成したナノ粒子に比較し、電流ピークも低電位側に観測され絶対値も3倍ほど大きく、明確な触媒活性向上が観測されたこと、まだ感度は悪いが、pHを1以上さげても効果が見られたことなどより、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度末までに窒素化カーボン膜上に形成したNiナノ粒子で、大幅なグルコースの電気化学触媒活性の向上が観測され、pHを1以上下げても効果が見られた。更に特性を向上させるため、2021年度末に得られた窒素濃度を増加させたカーボン膜にNiナノ粒子を形成して特性を最適化すると共に、同じくグルコース酸化特性に優れる銅(Cu)ナノ粒子についても検討し、その合金化により大幅な活性向上をはかる。更に現在用いている硬いシリコン基板上に形成したカーボン膜のかわりに、カーボンフェルトや印刷カーボンなどのウエアラブル化に適したフレキシブルなカーボン電極を用いてNiナノ粒子の電析を行い、グルコース酸化特性の向上をはかる。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由:当該年度も引き続きコロナ感染症にともなう蔓延防止策が引き続き実施されたため、学生の登校の人数制限などを実施し通常より実験量がかなり低下したため消耗品を中心に予算使用が減少した。また、招待講演で参加を予定していた化学センサ国際会議、国際電気化学会、Pacifichem2021、国内電気化学会、分析化学会年会などが全てオンラインとなったため、旅費としての予算執行額も減少した。 次年度使用額は、繰り越し額837771円,2021年度請求額1,800,000円(うち400,000円分担者)のうち、代表者分2,137,771円は、備品:300,000円、試薬類など消耗品:537,771円、TEM分析費用:400,000円, 謝金人件費:400,000円, 会議参加費、旅費350,000円、論文掲載料150,000に使用予定である。また、400,000円は、分担者が電極の分析 費用や試薬類などに使用する。
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Research Products
(10 results)