2022 Fiscal Year Research-status Report
ウェアラブル型グルコースセンサにむけた低pH駆動型水酸化ニッケル電極触媒の開発
Project/Area Number |
20K21133
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Research Institution | Saitama Institute of Technology |
Principal Investigator |
丹羽 修 埼玉工業大学, 先端科学研究所, 教授 (70392644)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
芝 駿介 愛媛大学, 理工学研究科(工学系), 助教 (70823251)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2024-03-31
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Keywords | 電気化学センサ / グルコース酸化 / ニッケルナノ粒子 / 電気化学触媒活性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、酵素を用いないウェアラブル型グルコースセンサにむけた低pH駆動型水酸 化ニッケル(Ni)電極触媒の開発を目的とする。報告者らは、窒素化したカーボン電極上にNiナノ粒子を形成すると、電気化学的な触媒活性が飛躍的に向上することを発見した。そこで低圧真空プラズマにより窒素化したカーボン電極にNiナノ粒子を電析され、①カーボンマトリックスとナノ粒子の電気的な相互作用を変化、或いは②Ni粒子を水酸化して触媒活性点を増加させることで、より低いpHでの糖酸化検出をめざしている。昨年度は、窒素化カーボンに修飾したNiナノ粒子のグルコース酸化の濃度依存性やpHを低下させた時の影響について調べ、窒素化の効果を確認した。2022年度は、これまでプラズマによるカーボン窒素導入量が1%強程度に留まっていたため、プラズマ処理条件を変えて窒素導入量を増加させることを検討した。具体的には、窒素プラズマ処理時の圧力依存性や使用するカーボン膜中のsp2結合の分率などについて検討した。今回は、比較的sp2結合が多い膜を使用し、プラズマガス圧を20, 15, 10, 5 パスカル(Pa)と4条件で検討したところ、プラズマ処理時の圧力が20 Paの時、1.7%の窒素導入量だったのに対して、5 Paでは3.1%まで増加させることができた。条件を変えて処理した窒素化カーボン膜に同量のNiナノ粒子を電析させ、アルカリ水溶液中で、表面の水酸基の酸化還元挙動の電位掃引速度依存性を調べると、窒素導入量が多い膜に形成したナノ粒子でより速い酸化還元応答が得られた。また、グルコースの酸化特性について調べたところ、同様に窒素導入量が多いカーボン膜上に形成したNiナノ粒子でより高いグルコース酸化電流を得ることができた。 更に同様の効果を示すと考えられる他の金属の利用や大きな電流値が得られる多孔質カーボンの利用も検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今回、昨年度の成果に加え、プラズマ処理による窒素化条件を詳細に検討した結果、より幅広い範囲で窒素濃度を変えることに成功した。また、窒素濃度を増加させるとNiナノ粒子表面の酸化還元反応速度が大きく向上し、グルコース酸化電流も向上したことから、概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度電極基板となるカーボン膜への窒素導入量などについて主に検討を行った。一方、昨年度考案した同様の効果を示す銅との複合化や大きな面積を有しウエアラブル化に適したカーボンペーパーやカーボンフェルトについても検討を行っているが、まだいくつかの課題がある。上記についてより詳細に検討すると共に、測定可能なグルコースの濃度範囲など実際のセンサとしての特性も検討を行う予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由:当該年度も引き続きコロナ感染症にともなう蔓延防止策が引き続き実施されたことで、国内学会は年度途中から現地参加できたが、国際会議については、一部オンラインで参加したものの、今年度、招待講演を含む2つの国際会議に現地参加する予定である。また、年度末までに行った結果を論文投稿(最低1報、可能なら2報)を行うためのまとめの実験と執筆などに必要な費用(英文校閲、掲載料)などで次年度使用が必要である。、繰り越し額1,528,126円は、消耗品:128,126円、謝金人件費:400,000円, 分析委託費:100,000円、会議参加費、旅費700,000円、論文校閲、掲載料200,000に使用予定である。
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