2020 Fiscal Year Research-status Report
超高感度量子計測用グラフェン/ダイヤモンドヘテロ接合形成
Project/Area Number |
20K21136
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
山田 貴壽 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 主任研究員 (30306500)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
増澤 智昭 静岡大学, 電子工学研究所, 講師 (40570289)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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Keywords | 量子センサ / ダイヤモンド / グラフェン |
Outline of Annual Research Achievements |
ダイヤモンドNV中心を利用した高感度量子計測のために、「グラフェン/ダイヤモンド接合」を形成し、高電子濃度グラフェン合成とダイヤモンド表面のバンド湾曲制御により、ダイヤモンド表面でのNV中心の長期安定化実現を目的としている。 2020年度は、(1)高電子濃度グラフェン合成とグラフェン/ダイヤモンド接合形成、(2)ダイヤモンドバンド湾曲計測技術開発に取り組んだ。 高電子濃度グラフェン合成は、湿式方式を選択した。湿式処理時間や溶液濃度、溶媒をパラメータとして、グラフェンの電子濃度制御を試み、グラフェンへのアルカリやハロゲン元素の化学吸着量を制御することでグラフェンに欠陥を導入せずに、電子濃度を変えられることを、ホール効果測定によるキャリア濃度の見積から明らかにした。X線光電子分光法により算出したグラフェンへのアルカリやハロゲン元素の吸着量が、電子濃度に影響することを明らかにした。 イオン注入によりダイヤモンドへのNV中心形成した表面上ではグラフェンの密着性が低く、バンド湾曲評価の耐久性がない課題が見つかった。湿式のダイヤモンド表面改質技術を確立し、グラフェン/ダイヤモンド界面の密着性向上を実現した。ダイヤモンド表面上に選択的にグラフェンを形成し、ダイヤモンド上のグラフェン領域とダイヤモンド表面を同時評価できる構造作製に成功し、レーザー顕微鏡及びラマンマッピングによりグラフェン/ダイヤモンド領域の観察に成功した。光・熱電子放出電流測定により、ダイヤモンド表面のバンド湾曲を評価する手法を開発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
化学吸着元素種・吸着量を変えることで、グラフェンの電子濃度制御が実現できることを、ホール効果測定とXPS評価により明らかとした。イオン注入によりNVセンタを形成したダイヤモンド表面上に、選択的にグラフェン/ダイヤモンド構造を形成することに成功し、実効的な仕事関数を見積もるなど、順調に進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度に作製したグラフェン/ダイヤモンド構造の負に帯電したNV中心の深さ方向分析の密度を共焦点顕微鏡により分析する。グラフェンが形成されていないダイヤモンド表面の負に帯電したNV中心の深さ方向分析結果と比較することで、高電子濃度グラフェン/ダイヤモンド構造の効果を実証する。さらに、グラフェン/ダイヤモンド構造形成による実効的な仕事関数が変化やグラフェン中の電子濃度が、負に帯電したNV中心濃度へ与える影響を解明する。
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Causes of Carryover |
令和 2 年 12 月、新型コロナウイルスの影響により、追加で購入予定していたグラフェンが年度内に納品できないことが判明した。グラフェンは研究遂行上、試料作製において必要であるため、納品が見込まれる令和3年8月まで研究を延期する必要が生じた。
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