2020 Fiscal Year Research-status Report
分子選択性を有する表面増強ラマン散乱用金属ナノ粒子の開発
Project/Area Number |
20K21145
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中村 暢伴 大阪大学, 基礎工学研究科, 准教授 (50452404)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅 恵嗣 東北大学, 工学研究科, 准教授 (00709800)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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Keywords | 表面増強ラマン散乱 / 圧電体共振法 / Au / ナノ粒子 / 抵抗スペクトロスコピー / 超音波計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではスパッタリングと圧電体共振法を組み合わせて、表面増強ラマン散乱による分子検出に適したナノ粒子を開発することを研究目的としている。最初に、本研究で使用するナノ粒子作成システムを構築した。既存のスパッタリング装置を改良して、スパッタリングを用いてナノ粒子を作成している最中に、圧電体共振法を用いてナノ粒子の形態をモニタリングすることのできる実験システムを構築した。その後、ナノ粒子の作製に適しており、なおかつ圧電体共振法による計測にも適しているナノ粒子作製条件を決定するために、成膜中の真空度や基板とターゲットの間隔など変更して予備実験を行った。ナノ粒子の作製条件が決まった後に、表面増強ラマン散乱の計測条件を検討した。表面増強ラマン散乱では、使用するナノ粒子の形状やレーザーの波長によって散乱光の強度が大きく変化する。そこで、表面増強ラマン散乱の実験を安定して実施できる条件を検討した。4-メルカプト安息香酸を検出対象としてさまざまな条件で表面増強ラマン散乱計測を行い、安定して計測することのできる条件を決定した。これらの準備ができた後に、スパッタリングと圧電体共振法を用いてさまざまな形態のAuナノ粒子を作製し、Auナノ粒子の形態と表面増強ラマン散乱の計測結果にどのような関係があるかを調べた。検出対象は4-メルカプト安息香酸とした。最終的に、Auナノ粒子の形態によって散乱光の強度が変化する測定結果が得られ、圧電体共振法の測定結果と表面増強ラマン散乱の測定結果に相関があることが分かった。この結果は、圧電体共振法を用いることで散乱光の強度を調整あるいは最適化できることを示唆するものであった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、スパッタリングと圧電体共振法を組み合わせて形態の異なるAuナノ粒子を作成することに成功し、表面増強ラマン散乱の実験も行うことができた。結果として表面増強ラマン散乱の実験結果とAuナノ粒子の形態に相関がみられ、圧電体共振法を用いることで散乱高強度を調整・最適化できることが示唆された。当初の計画通り、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度の実験で、ナノ粒子の作製条件や表面増強ラマン散乱の計測条件を決定したが、実験の測定精度をより高めるために実験条件や実験手順に改良の余地があると考えられるため、これらの点を改良する。また、初年度は比較的小さな分子を検出対象としたが、次年度はこれよりも大きな分子に対して検出実験を行う。これらの実験結果から、本研究で開発するAuナノ粒子を用いることで、分子の大きさによって散乱光強度に変化がみられるかどうかを検証する。
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Causes of Carryover |
対面での学会参加や打ち合わせを実施することができなかったため、旅費などの支出が当初の予定よりも少なくなり、次年度使用額が生じた。ただし、オンラインミーティングやメールでの打ち合わせを行うことで、研究遂行に支障は生じていない。次年度も当初の計画にそって研究を実施する予定であり、次年度使用額は実験で使用する試料や解析に使用するソフトウェアなどに使用する予定である。
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Research Products
(1 results)