2020 Fiscal Year Research-status Report
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20K21146
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松山 智至 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (10423196)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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Keywords | X線顕微鏡 / X線ミラー / 形状可変ミラー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,X線用アダプティブ反射レンズを用いて波面収差を積極的に修正することで,超高分解能X線顕微鏡の実現可能性を検討している.初年度は,①光学系の設計,②形状可変ミラーの設計・解析,③波面計測法の検討,④形状可変ミラーの試作 を実施した. ①では,SPring-8のBL29XULに設置できる実用的な結像光学系を設計・性能予測を行った.光線追跡法と波動光学シミュレーションによってその性能予想を行い,広い視野と高い分解能を有することを確認した. ②では,形状可変ミラーの設計とその性能を有限要素法を使って解析した.予想される形状誤差の空間周波数とバンプ高さから,電極数と基板厚み等を決定した.また,各電極にかける電圧に対する応答関数(応答形状変形)を得ることで,形状誤差を修正するために必要な電圧分布をシミュレートした. ③では,有望な波面計測手法である,格子干渉計,微小点を用いる方法,反復的位相回復計算を用いる方法を様々な方向から検討した.格子干渉計では可能性のあるすべてのシステムエラー(格子作製誤差,カメラ作製誤差,格子のミスアライメント,カメラのミスアライメント)を検討した.微小点を用いる方法では,実際のX線顕微鏡を使たフィージビリティテストを実施した.また,すべての方法でシミュレーションを実施し,実現可能性の確認を行った. ④では形状可変ミラーを試作し,可視光干渉計を使って基礎特性の評価を行った.現在も更なる試作と評価を続けている途中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
X線ミラーの設計・シミュレーション・試作を行うことができ,また,並行して波面計測法についても調査が進んだことから,計画通り順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,SPring-8においてその性能の評価を進めるとともに,さらに高い性能を有するアダプティブミラーの設計・試作を進めていく.
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Causes of Carryover |
実験開始時期が後ろ倒しになりSPring-8実験を十分に実施できなかったため次年度使用額が生じた.次年度においてはアダプティブミラーの試作とX線を使った評価を集中的に実施する.
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Research Products
(7 results)