2023 Fiscal Year Research-status Report
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20K21147
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Research Institution | Saitama Institute of Technology |
Principal Investigator |
内田 正哉 埼玉工業大学, 付置研究所, 教授 (80462662)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2025-03-31
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Keywords | 電子 / 電子光学デバイス / 量子デバイス / 軌道角運動量 / 電子顕微鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究提案では、原子ではなく電子をガイド、トラップする電子光学デバイス、すなわち、「電子チップ」の開発を目指している。「電子チップ」は本研究課題代表者によって発見された軌道角運動量をもつ電子ビーム(Nature, 2010)の研究にも大いに寄与するものと期待している。令和5年度の主な成果は、以下の通りである。
開発する「電子チップ」は金属細線を流れる電流によって生じる局所磁場あるいは電場を用いてチップ上電子の制御を行うタイプである。今年度は電場印加が可能な電子顕微鏡試料ホルダーの設計および製作を行い、電子顕微鏡内での電場印加までの動作を確認した。また、有限要素法を用いた電磁場シミュレーション結果に基づき、電子の局所操作が可能となる「電子チップ」の設計および試作を行なった。今回の「電子チップ」の試作は集束イオンビーム(FIB)等を用い基板上に行った。今後、電子線リソグラフィーによる「電子チップ」の製作を行い、電子顕微鏡に搭載、開発済の電子線用撮像カメラを用いて評価する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「電子チップ」は解決しなければならない問題があるが、「試料ホルダー」については期待通りの性能が得られ、一定の進捗が出たものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画を延長し、令和6年度も引き続き実施する予定である。電子線リソグラフィーによる試作は複数の外部機関での利用で推進していく。
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Causes of Carryover |
未使用額が生じた理由は、新型コロナウイルス流行による影響と円安による装置価格の値上がりによるものがある。これにより、デバイス作製が困難な状況が続いたが、繰越金と合わせての執行計画として、当初計画にあるよう、デバイス製作、必要器材の購入を予定している。
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