2021 Fiscal Year Annual Research Report
細胞全体を高速かつ高精度に観察できるクライオ1分子蛍光イメージング法
Project/Area Number |
20K21168
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
松下 道雄 東京工業大学, 理学院, 准教授 (80260032)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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Keywords | 1分子観察 / 光シート |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、細胞全体に存在する多数の生体分子の三次元配置を1分子ごとに決定することである。我々はクライオ蛍光顕微鏡によって、分子レベルの正確度の1分子イメージングに成功している。しかし、これまでの照明法(共焦点照明法)では、回折限界(体積0.1 μm立方)に絞った光で一つ一つの分子を光励起していたため、細胞のような大きな物体(体積10000 μm立方)の三次元観察には不向きであった。例えば、1点あたりの露光時間を1分とすると、合計200時間の露光時間が必要なる。そこで当該研究では、高速に(細胞1個あたり数十分)多数の分子をナノメートルの精度で1分子観察できる『シート励起クライオ蛍光顕微鏡』を開発する。 本年度は、光シート顕微鏡のためのシート励起光を実験的に確認した。方法は二つであり、一つは従来のベッセルビームを用いる方法であり、もう一つは対物レンズを走査する方法である。その結果、前者は高速の観察ができるものの、背景光が高くなることがわかり、1分子観察には不向きであった。後者は、観察速度はすこし遅くなるものの、従来法よりも桁違いに早くなり、かつ背景光の影響は従来法を変わらないととても良い特性があることがわかった。結果をまとめると、シート励起の1分子観察には大きな可能性を持っており、これを推進することで、細胞や生体組織にある分子を網羅的に観測できると考えており、課題終了後も継続的に研究を進めていきたいと考えている。 本課題で得られた成果に関する論文を執筆中であり、2022年度中には発表できると考えている。また、特許出願できそうな技術も開発しており、出願の準備を同時に進めている。
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