2020 Fiscal Year Research-status Report
Creation of bistable molecular junction with electrical ON/OFF switching mechanisum
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20K21184
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
鈴木 孝紀 北海道大学, 理学研究院, 教授 (70202132)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | 分子ジャンクション / 動的酸化還元 |
Outline of Annual Research Achievements |
「電位入力型ON/OFF機能の付与された双安定性分子ジャンクションの創成」に関する本研究課題では、分子薄膜の両面に電極が接合された分子ジャンクションについて、エレクトロニクスの高速化とダウンサイジングに不可欠な将来的技術であることを鑑み、薄膜を構成する分子の導電性が外部刺激によって変化する設計のもとで、分子ジャンクションにON/OFF機能を付与する挑戦的内容である。国立シンガポール大学C.A.Nijhuis教授との国際共同研究として実施する。電極接合については、Nijhuis教授らが持つ共融ガリウム-インジウム電極の蒸着技術を用い、Au/分子薄膜//GaOx/EGaIn型のデバイスを構築する。 初年度は、中性分子の酸化電位と新たなC-C結合が形成されることによる二価陽イオン種還元電位に1Vもの差を伴う電気化学的双安定性をもった系として、ビフェニル(BP)とジヒドロフェナントレン(DHP)骨格の変換する動的酸化還元対をモチーフとした分子の合成をおこなった。最終的に、酸化還元部位に対して、金表面に結合可能な2つのジスルフィド部位を有する一連の化合物群を合成した。酸化還元骨格上に導入する置換基によって、動作電位が変化させられることをサイクリックポルタンメトリーで確認した。具体的には、同じアミン系置換基であっても、ピロリジノ基、ジメチルアミノ基、モルホリノ基では、0.3Vの変化を観測した。その際、以前に検討したプロトタイプでの問題点であった、遅い結合切断の過程による、変換速度の問題を克服する点を解決できたことも確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画していた最初の一連の化合物についての合成が完了し、その溶液内での挙動が期待通りであることが示された。金上での動作については、共同研究先にてその特性を調査中である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、新たな動的酸化還元系の骨格探索並びにその分子ジャンクション形成能が主な課題となる。
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Causes of Carryover |
新規物質合成には多量の消耗品を購入して長期間の実験が必要である。申請後、採択の通知までの期間に、一般運営財源を利用して消耗品の多くを購入してすでに一部の研究を先取りしていたため、交付時期後に実際に使用した予算がすくなかった。
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Research Products
(5 results)