2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K21191
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
北村 雅人 名古屋大学, 創薬科学研究科, 教授 (50169885)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | 不斉触媒反応 / キラル二座配位子 |
Outline of Annual Research Achievements |
Naph-diPIMは、ジアミジン骨格を基本とする窒素系二座配位子である。二つのジオキソラン骨格を導入した光学活性配位子Naph-diPIM-dioxo-iPrは、種々の金属錯体触媒反応において高い反応性、エナンチオ選択性の獲得を実現する。例えば、対応する銅(II)錯体がインドールとトリフルオロピルビン酸エチルとの不斉Friedel-Crafts反応において高い反応性、選択性を示すことを見出しており、その反応開発過程において、強力な不斉増幅現象の発現を観測した。その発現機構を追跡し、詳細を明らかとしてきた。我々はこれまでに、Naph-diPIMの触媒機能探索の一環として、コバルト錯体を用いるα,β-不飽和カルボン酸エステルの不斉1,4還元法を開発してきた。その応用展開として、σ1受容体の高親和性リガンドであるFluspidineの合成をおこなった。リガンドの親和性をさらに向上させるために、Fluspidineのアナログを系統的に合成し、スクリーニングを行った。不斉1,4還元する合成戦略を用いて、20種の修飾フルスピジン候補化合物を合成し、構造活性相関を調査した結果、ハイブリッド化された修飾フルスピジンを見いさすことに成功し、阻害率を45%から71%に向上させることができた。さらに、タンパク質-リガンド複合体構造のドッキングシミュレーションにより機能発現機序の理解を深めることができた。新しい不斉触媒反応を提供することによって、リガンド類縁体の簡易な合成を可能とし、性能向上に貢献できたことを示す例である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目的とする不斉増幅現象の詳細を明らかとするとともに、関連する反応開発を進めており、おおむね順調に進展しているとしてよい。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、これまでに明らかとしてきた不斉増幅現象をさらに展開するべく、Naph-diPIMを用いる触媒的不斉合成法の開発を進める。
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Research Products
(3 results)