2022 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20K21191
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
北村 雅人 名古屋大学, 創薬科学研究科, 教授 (50169885)
|
Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
|
Keywords | 不斉触媒反応 / キラル二座配位子 |
Outline of Annual Research Achievements |
Naph-diPIMは、ジアミジン骨格を基本とする窒素系二座配位子である。二つのジオキソラン骨格を導入した光学活性配位子Naph-diPIM-dioxo-iPrは、種々の金属錯体触媒反応において高い反応性、エナンチオ選択性の獲得を実現する。例えば、対応する銅(II)錯体がインドールとトリフルオロピルビン酸エチルとの不斉Friedel-Crafts反応において高い反応性、選択性を示すことを見出しており、その反応開発過程において、強力な不斉増幅現象の発現を観測した。これまでに、その発現機構を追跡し、詳細を明らかとしてきた。 新しい不斉増幅の展開を念頭に、Naph-diPIMの触媒機能の拡充を進めた。我々はこれまでに、Naph-diPIM-dioxo-iPrのルテニウム触媒が、脱水型不斉アリル化反応の有効性を明らかとしてきた。本年度は、これを進めて、α位無置換のβケトエステルを求核剤に用いるアリル化反応への転換を図った。そ結果、カチオン性BINAPパラジウム触媒上記ルテニウム触媒と組み合わせることによって、高いエナンチオ、かつジアステレオ選択性で対応するカップリング体が得られることが分かった。ルテニウム、パラジウム触媒の立体を選択すれば、任意のジアステレオマーを選択的に構築できる。βケトエステルは、ルイス酸性のパラジウム触媒と反応すると、パラジウムエノラートを形成し、これが求核剤として作用することが知られる。エノラート形成時には、対応する共役酸を放出する。これが、上記ルテニウムに対する共触媒作用するため、アリル化反応に活性を示したと考えられる。パラジウムとルテニウムには立体相補性が見られ、今後、新しい不斉増幅への応用が期待される。
|
Research Products
(3 results)