2020 Fiscal Year Research-status Report
Synthesis of optically active graphene nanoribbons
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20K21192
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
伊藤 英人 名古屋大学, 理学研究科, 准教授 (70706704)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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Keywords | ヘリセン / 多環芳香族炭化水素 / ヘリカルラダーポリマー / 光学活性 / グラフェンナノリボン |
Outline of Annual Research Achievements |
光学活性グラフェンナノリボン(GNR)、光学活性縮環共役ラダーポリマーの創製を目指し、本年度は特に、π拡張ポリヘリセンの合成に着手した。ポリヘリセンこれまで、ベンゼン環が16個つらなった[16]ヘリセンの合成が達成されているが、これ以上の長さのポリヘリセンや拡大ヘリセン合成は達成されていない。そこで、フェナントレンモノマーを用いたWittig反応、環化反応による新しい拡大ヘリセンの合成を目指した。市販のフェナントレンを出発原料に、可溶性置換基の導入、Wittig試薬への変換、Wittig反応、分子内山本カップリングによって、ベンゼン環15個あるいは17個からなる拡大ヘリセンの合成に成功した。この分子は拡大ヘリセンの両端のベンゼン環がπ-πスタッキングによって近接していることがX線結晶構造解析によって確かめられ、目的とする光学活性GNR、光学活性縮環共役ラダーポリマーの部分構造とみなせる骨格であることがわかった。また、重合反応へと適用し数平均分子量5000前後の高分子を得ることにも成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた縮環π拡張(APEX)重合による光学活性グラフェンナノリボン合成については、2019年に報告したNature論文における研究不正疑義と2020年の論文取り下げに際して、一旦保留としたが、別の合成ルートによって光学活性グラフェンナノリボン/縮環共役ラダーポリマーの合成へ展開することができたため、「(2)概ね順調に進展」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、拡大ヘリセンオリゴマー、拡大ポリヘリセンはラセミ体の合成に止まっているため、不斉補助基の導入よって、らせん不正をもった拡大ポリヘリセンの合成を検討する予定である。すでに、拡大ヘリセンオリゴマーに関しては、キラルカラムによる光学分割を検討しており、目的の光学活性拡大ヘリセンの参照物質として評価を進めている。同時に、オリゴマー、ポリマー双方での円二色性などを明らかにする。APEX反応による光学活性グラフェンナノリボンについても、現在オリゴマー合成について検討を進めており、有効であれば、双方の手法によって光学活性グラフェンナノリボンの合成を目指す。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスによる研究停止期間、発注予定物品等の遅延が生じたため、効率的かつ効果的に研究費を使用するため次年度に繰り越すこととした。
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