2020 Fiscal Year Research-status Report
遷移金属を凌駕する典型元素触媒:ホスホール触媒によるハロアリールのフッ素化
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20K21195
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
鳶巣 守 大阪大学, 工学研究科, 教授 (60403143)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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Keywords | 有機リン触媒 / レドックス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、有機リン化合物を遷移金属触媒の代わりに用い、遷移金属特有の酸化的付加、還元的脱離などのレドックス過程の相当する素反応を開発し、リンのレドックスを活用する触媒反応を開発することを目指している。これまでの検討により、電子不足アルキンおよび酸フッ化物を3級ホスフィンの存在下で反応させると、酸フッ化物由来のアシル基とフッ素基がアルキンに付加するアシルフルオロ化が進行することを見出している。この反応では、5配位のフルオロホスホラン中間体を経由して形式的な酸化的付加、還元的脱離がリン上で起こっている。クロスカップリングに代表される遷移金属触媒反応において、もう一つ鍵となる素反応として、トランスメタル化がある。リンレドックス触媒において、トランスメタル化が可能になれば、より多彩な反応への応用がkの合うになると期待される。そこで、本年度はわれわれが独自に見出したフルオロホスホラン中間体におけるフッ素置換基が、外部の求核種と形式的なトランスメタル化(リガンドカップリング)が可能かどうかを検討した。その結果、求核種としてエノールシリルエーテルを用いた場合に、フルオロホスホランとカップリングした結果生成したと考えられる化合物が得られた。すなわち、全体としてはアルキン、酸フッ化物、エノールシリルエーテルのリン触媒による3成分カップリングであり、形式的にはエノールエーテルのβ位C-H結合がアルキンに付加するヒドロアルケニル化反応である。しかも、電子不足アルキンに対してはアンチマイケル型で付加した形式の生成物が得られる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
リンのレドックスを活用するという作業仮説を実証するための新しい触媒反応系が見出されたため。
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Strategy for Future Research Activity |
3成分反応の反応機構を明らかにし、5配位フルオロホスホランのリガンドメタセシスが関与しているより強固な証拠を実験、理論の両面から追求する。 さらに、より多様な反応へ展開するために、触媒設計を含めて検討する。
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