2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of Supramolecular Actuator Directed by Expansion and Contraction of Molecular Structure
Project/Area Number |
20K21196
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
灰野 岳晴 広島大学, 先進理工系科学研究科(理), 教授 (80253053)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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Keywords | 自己集合カプセル / 超分子ポリマー / 分子認識 / アクチュエータ |
Outline of Annual Research Achievements |
アゾベンゼンの光異性化などのフォトクロミックな分子を利用した光刺激によるアクチュエータが開発され,分子運動をマクロな運動に変換することでアクチュエータが開発できることが示された。この様な系では,化学エネルギーから誘起される分子構造変化を,分子レベルからマクロスケールの構造へ消散なく伝達できる分子システムの構築が鍵となる。そこで,本研究課題では,ゲスト分子や分子イオンの結合により伸縮運動を示す人工カプセル分子の開発と,その伸縮運動をマクロな運動機能にまで増幅できる二重刺激応答型アクチュエータ分子システムの開発を目的とする。 現在,レゾルシンアレーンを基盤とした自己集合カプセルを合成し,メタセシス反応を用いることで上下のカプセルを結合したヘミカルセランドの合成に成功している。この分子は,金属の配位や除去により分子構造が大きき伸縮することでゲスト分子の構造を精密に識別できることが分かった。また,中のゲスト分子の配座をカプセル構造の伸縮により制御できることも分かった。現在,ポリカプセル構造の形成を検討しており,重合構造が安定な超分子ポリマーゲルを与えることを見出している。また,超分子ポリマーのらせん構造を原子間力顕微鏡により直接観測することに成功している。ヘミカルセランド構造の構築をポリマー分子構造に組み込むことで,分子構造の伸縮を増幅できるので,超分子ポリマーによるアクチュエータ機能を創製できると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在,超分子ポリマー構造の合成に既に成功しており,比較的高い弾性のあるゲル材料の開発に成功している。本計画の中間点である超分子ポリマーゲルの開発が成功したことで,計画通り次年度は超分子ポリマーの運動について検討できる準備が整っている。
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Strategy for Future Research Activity |
得られた超分子ポリマーゲルを利用して,アクチュエータ機能を検討する。具体的には,金属配位の溶媒による制御や熱による制御を通じてゲル材料の伸縮や湾曲などの変形を詳細に調べ,アクチュエータとしての機能を詳細に検討していく予定である。
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Causes of Carryover |
2020年度はコロナ感染症への対応のため,研究活動を数ヶ月程度制約されていた。消耗品費や機器使用費が大きく減り,旅費の支出が全くなかったため,繰越金が発生した。本年度は既に平常と概ね変わりのない研究室運営となっているので,昨年度の繰り越し分と合わせて,消耗品の購入や学会参加費として使用する。また,論文投稿にかかる費用として使用する計画である。
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