2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of high-temperature superconducting diamond created from graphene oxide
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20K21213
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
速水 真也 熊本大学, 大学院先端科学研究部(理), 教授 (30321912)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | ダイヤモンド / 酸化グラフェン / ハイブリッド |
Outline of Annual Research Achievements |
酸化グラフェン(GO)を還元することで還元体であるrGOを得ることができるが、その還元手法としてヒドラジンを用いた化学的還元、紫外線照射による光還元、熱還元および電気化学的還元などがあげられる。ヒドラジン還元したrGOは窒素がドープされておりp型の特性を示し、光還元したグラフェンはディフェクトが多数できn型の特性を示すことを見出した。還元手法により様々な原子(窒素やホウ素など)をドープすることができる。さらに、液中パルスプラズマによる新規GOナノシートの合成方法を確立し、窒素あるいはハロゲン原子などのドーピングにも成功した。 GOをヒドラジンで還元後、高温高圧(2000 ℃、15万気圧)によるダイヤモンドを合成した結果、高温高圧反応後、バルク結晶相とナノ粒子相の二種類の結晶が生成されていることが分かった。そのダイヤモンドを磁場化でマイスナー効果を測定すると、ドメインサイズの違いにより130 Kにバルク結晶によるものと、30 K付近にナノ粒子によるマイスナー効果が観測された。これは、窒素ドープダイヤモンドが高温超電導を示したことを示唆している。 また付随する結果として、窒素ドープのrGOから作製したダイヤモンドのNV中心のスピン緩和の測定もESRを用いて行い、長い緩和時間を観測することに成功し、これはダイヤモンドにNV中心が効果的に生成されていることを示唆している。 その他、GOからダイヤモンドを合成する手法として、ダイナマイト爆発実験やパルスプラズマ実験なども試みており、ダイヤモンドの新たな可能性を見出すことに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ダイヤモンドの合成は、GOのドープによるダイヤモンドの合成に適した高温高圧合成法とダイナマイトによる衝撃波を用いた合成を用いるが、コロナ禍で他大学の実験施設の利用が思うようにいかず、再現性などの実験をこなす機会が少なく、研究の進捗状況は少し遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は比較的実験ができる予定であり、高濃度に窒素や酸素ドープされたダイヤモンドの合成が可能となる。本研究では、高濃度に窒素や酸素ドープされたダイヤモンドの高温超電導の発現を期待する。化学的あるいは電気化学的による単層剥離によるGOナノシートのドープによるダイヤモンドの形成は、種々の原子がドープされたダイヤモンドを作製する有用な手法となり、今後、未開拓の分野であるダイヤモンドの高温超電導の先駆的開拓を行う。
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Causes of Carryover |
コロナ禍で他大学の実験施設を利用するため、実験する機会が少なく、次年度の使用額が生じた。また今後の実験は、現在のところ比較的できる状況になり、従来通りの使用計画に用いる。
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Research Products
(2 results)