2020 Fiscal Year Research-status Report
Photomagnetic Effects Induced by Magneto-LC effects and Radical-Triplet Pair Mechanism
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20K21226
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
内田 幸明 大阪大学, 基礎工学研究科, 准教授 (60559558)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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Keywords | 液晶 / 有機ラジカル / ラジカル-三重項対機構 / 光磁気効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
①ニトロキシドラジカル(NR)液体に効率よく偏極を移す三重項励起色素の選定: ラジカル-三重項対機構(RTPM)は希薄溶液中で検出された現象であり、NR液体中では、濃厚なスピン系であるため、電子常磁性共鳴(EPR)スペクトルの微細な構造が平均化されて失われてしまう。そこで、NR液体と三重項励起色素をともに反磁性液晶に溶解してガラスセルに注入し、光照射の有無によるEPRスペクトルの差として、液晶中で起こるRTPMを検出し、効率の高い色素を選定した。結果的にベンジルがもっとも効率よくNR液体に偏極を移すことを確かめた(論文執筆中)。 ②三重項励起色素部位を含むNRの設計・合成: 分子内でRTPMを起こす分子を設計し、実際に合成することに成功した。光照射の有無によるEPRスペクトルの差として、液晶中で起こるRTPMを検出した(論文執筆中)。また、次の段階として、分子内でRTPMを示し、同時に液晶相も示す化合物の候補物質を絞り込み、合成する段階に移った。 ③薬物送達システム(DDS)に利用可能な液晶マイクロカプセルの作製: 本研究計画の将来展望として掲げた、有機化合物の生体適合性を生かしたDDSへの応用に向けて、液晶をシェルとするW/O/Wコアシェルエマルション(液晶マイクロカプセル)に関する研究を進めている。本年度は、光照射によって液晶シェルの構造が変化して破裂する、光応答性液晶カプセルについて報告を行った(雑誌論文として出版済)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初二年間で達成することを予定していたニトロキシドラジカルへの分子内スピン注入を、一年間の研究で明らかにでき、さらに、新しい液晶マイクロカプセルの創出に至ったため。
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Strategy for Future Research Activity |
①三重項励起色素部位を含むNR液晶分子の設計・合成: 同じ液晶相を示す物質は互いに溶解しやすいことが知られている。今後は、2020年度に達成した三重項励起色素からNR部位への分子内スピン注入を起こし、液晶相を発現する化合物の合成を行う。分子中央の剛直性と棒状性に加えて、側鎖の柔軟性を確保することで、液晶相を発現させる。
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Causes of Carryover |
年度内に発注した物品(1,013,540円)の設置の日程がずれ、次年度に納品されたため。2021年4月6日に納入・設置済み。
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