2020 Fiscal Year Research-status Report
Stem cell differentiation at ionic liquid interface
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20K21229
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| Research Institution | National Institute for Materials Science |
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Principal Investigator |
上木 岳士 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 機能性材料研究拠点, 主任研究員 (00557415)
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| Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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| Keywords | イオン液体 / ヒト間葉系幹細胞 / 界面 / メカノバイオロジー / レオロジー / ゲル / 分化誘導 / 細胞培養 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
ヒト間葉系幹細胞(hMSCs)に細胞毒性を示さない疎水性イオン液体と培地(細胞培養に必須な栄養素等を含む水溶液)が形成する界面を特殊な細胞培養場と見なし、その分化系統や増殖・伸展形態等、種々の生化学応答を評価することを目的とする。具体的には液体の化学構造変化に伴って変化する粘性率等の物理化学パラメータや、イオン液体に特徴的な極性ナノ相分離構造変化、さらには特定の官能基導入がhMSCsの挙動と、どのように連動するか精査する。
本年度は当研究室で見出された疎水性の細胞無毒性イオン液体の類縁体を合成し、その細胞毒性調査及び一部の構造においては界面での細胞培養実験に着手した。特に本年度は培養に資するイオン液体界面の最適化を目指し、細胞毒性に及ぼすアニオン構造依存性を調査した。具体的にはカチオン構造をアルキルホスフォニウムに固定し、アニオンをbis(trifluoromethane sulfone)imide(TFSI)、N,N-hexafluoropropane-1,3-bis(sulfone)imide(cTFSI)、bis(pentafluoroethane sulfone)imide(BETI)およびbis(nonafluorobutane sulfone)imide(NFSI)の四種類に変化させたイオン液体を合成した。イオン液体の含フッ素量はTFSI(6)～cTFSI(6)<BETI(10)<NFSI(18)であり、水相への溶解性はこの序列に従って低下したが、固有の細胞毒性は含フッ素量が高くなるほど高かった。以上の検討より細胞培養に適したスルフォンイミド系アニオンの化学構造要件を明らかになった。この結果を受けて現在TFSIおよびcTFSI系の疎水性イオン液体界面におけるhMSCsの細胞培養および分化誘導実験を行っている。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初は初年度は有機化学実験を中心に進め、無毒性疎水性イオン液体のライブラリ拡充を予定していた。一方、カチオン構造を固定し、系統的にアニオン構造を変化させた疎水性イオン液体の細胞毒性実験を行った結果、アニオンに要求される化学構造要件が明確になった。これにより細胞培養ないしはhMSCsの分化誘導に適したイオン液体構造が絞られた。これら無毒性イオン液体界面での細胞培養は二年度目以降に予定していたが、既に着手できているため、当初の計画以上に伸展していると判断した。
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| Strategy for Future Research Activity |
本年度明らかになった無毒性イオン液体を利用して、引き続きhMSCsの細胞培養実験を進める。またイオン液体と培地を接触させると、その界面にナノレベルの厚みを持ったタンパク質レイヤーが形成されることが予備実験の結果、明らかになった。このナノレイヤーが細胞のメカノトランスダクションにおいて非常に重要な役割を果たしていると予想しており、細胞培養実験と併行してナノレイヤーを単離、力学的および化学的なキャラクタリゼーションをするための手法を併せて開発していく。
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| Causes of Carryover |
細胞培養実験が初年度、思いの外順調に進んだため、次年度以降にバイオ分析関連の研究を予定より大きな規模で行うことが予想された。細胞培養やバイオ分析に用いる消耗品費の拡大が予想されたため次年度使用額が生じた。
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