2020 Fiscal Year Research-status Report
Synthesis of perfluoronaphthalene cation salts and their new applications
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20K21235
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松本 一彦 京都大学, エネルギー科学研究科, 准教授 (30574016)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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Keywords | ラジカルカチオン / イオン液体 / フッ素化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
ラジカルカチオンは不安定で寿命が短いものが多く、その構造や性質について解明すべき点が多く残されている。パーフルオロナフタレンカチオンのようなすべての水素がフッ素に置換された芳香族系カチオンは比較的安定な塩を与えることが知られているが、合成や取り扱いが難しいため、その研究はあまり進められてこなかった。本研究の目的は室温で安定な塩を形成することが知られているパーフルオロナフタレンカチオンと様々なアニオンを組み合わせた高機能性の塩を合成し、イオン液体としての評価を含めて、その熱特性、構造、物性を調べ、二次電池・電解フッ素化用電解液としての応用へと発展させることである。 本年度はまず、出発物質となるパーフルオロナフタレンカチオン塩の効率的な合成について、反応条件の最適化を行った。まず、酸化剤となるフッ化物を高温による熱分解で合成する手法を確立し、これとパーフルオロナフタレンの反応について、溶媒の種類の影響を調べた。フッ化水素と塩化フッ化スルフリルを用いて合成したところ、いずれの場合も目的物は合成されたが、塩化フッ化スルフリルを用いた場合の方が高収率かつ高純度で得られることが分かった。得られた化合物は分光学的なキャラクタリゼーションを行っている。次に次のステップのイオン交換について溶媒の種類が反応に与える影響を調べたが、一部の溶媒で反応が進むことが確認されているが、分解が起こる場合もあり、現在溶媒の適性を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍によって年度当初に研究が進まなかったことと合成条件、特に溶媒の選定に時間がかかったため、やや予定よりも遅れている状況である。しかしながら、ポイントとなる合成について、現在合成条件の最適化を行っている段階であり、令和三年度の研究に十分つながる状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策としては、イオン交換反応の溶媒最適化をまず行い、生成物のキャラクタリゼーションを行っていく。具体的には、熱特性評価(熱分解温度、相転移温度)、構造解析(結晶構造、分子構造、分子間相互作用)、物性評価(粘性率、イオン伝導率、密度、光学挙動、酸化還元挙動)を考えている。さらに合成方法を様々な角度から見直すことで、新規な化合物の合成にも取り組むこととする。
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Causes of Carryover |
コロナ禍にて研究進捗が遅れたため、次年度の消耗品購入費として使用する。
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