2021 Fiscal Year Research-status Report
Synthesis and function of diverse three-dimensional inorganic nanoparticle superstructures
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20K21236
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
猿山 雅亮 京都大学, 化学研究所, 特定准教授 (50636628)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | 硫化銅ナノ粒子 / 自己集合 / 配列構造変化 / 小角X線散乱 |
Outline of Annual Research Achievements |
一段階の化学的液相合成法を用いて、半導体ナノ粒子からなる超構造体の合成を試みた。自己集合させる半導体ナノ粒子として、サイズ均一性に優れたナノ粒子を容易に形成可能な硫化銅ナノ粒子をモデル材料として検討を行った。硫化銅ナノ粒子の形成・成長とともに自己集合が発生する様子が目視でも観察され、その時点での生成物は単分散な硫化銅ナノ粒子が最密充填し規則的に配列した超構造体であることが分かった。しかしながら、反応を続けると配列の規則性が徐々に失われ、最終的に完全にランダムな凝集体に変化することが分かった。この一連の現象のメカニズムを解明するために、大型放射光施設(SPring-8)にて反応中の溶液内の様子をリアルタイムで小角X線散乱測定する実験を実施した。その結果、ナノ粒子の核形成と成長、および凝集にともなう散乱パターンを得ることに成功し、反応時間とともに大きく変化する様子を見ることができた。凝集前の散乱パターンのフィッティングにより、成長途中の硫化銅ナノ粒子のサイズ分散は非常に小さく、凝集時に最密充填が可能であることが推測された。凝集後は超構造体の格子定数が膨張を続け、その後突如鋭いブラッグピークが消失した。このことは、超構造体中での硫化銅ナノ粒子が不均一に成長を起こし、それによりナノ粒子の配列規則性が完全に崩れたことを示している。この現象は、半導体に限らず多様な超構造体の構造制御につながるものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
超格子内でのナノ粒子の成長により配列規則化度が自発的に大きく変化する新奇な現象を見出すことができ、今後様々なナノ粒子超格子の配列制御への展開が期待されるため。
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Strategy for Future Research Activity |
配列規則化度制御された半導体ナノ粒子超格子の光学特性を調査し、粒子間カップリング強度との相関を明らかにする。また、ナノ粒子の形状制御手法を利用し、異方構造をもつ超格子の一段階合成とその指向的物理特性を実証する。
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Causes of Carryover |
昨年度はじめに半導体ナノ粒子超構造体の合成について重要な知見が得られたため、半導体材料に注力した。その結果、昨年度購入予定であった磁性ナノ粒子の検討に用いる交流磁場印加装置は導入を次年度に見送ることとしたため。
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