2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K21240
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
近藤 篤 大分大学, 理工学部, 准教授 (60533619)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | 吸着 / 多孔質材料 / 酸素 / 分離 |
Outline of Annual Research Achievements |
酸素は、製鉄プロセス、化学プラント、ごみ処理、工業炉、石炭ガス化複合発電、非鉄金属精錬等幅広い分野で使用されており、我が国はもちろん世界中で膨大なニーズがある。一方、コスト等の問題で使用が制限される場合も多く、安価な酸素製造法の確立が強く望まれており、重要な課題となっている。本研究ではこのチャレンジングなテーマに取り組むため、一から構造を設計・構築できる結晶性多孔質材料metal-organic framework (MOF)に着目し、酸素を選択的に吸着できる多孔性材料の特徴を明らかにすることを目指している。初年度は、酸素および窒素などの空気の主成分とモデル構造との相互作用の可視化を主目的として研究を推進した。モデル構造は、ケンブリッジの結晶構造データベースから複数の結晶構造情報を入手し、その結晶構造を元に評価対象モデルとして抽出した。その結果、金属イオンの異なる同構造モデルにおいて、酸素との相互作用エネルギーが異なることが明らかとなった。また、既報のMOFと金属イオンの異なる同構造ネットワークをもつMOFを合成し、酸素の吸着特性を評価したところ、既報材料と異なる吸着特性があることを確認した。吸着特性の差の理由を引き続き明らかにするため、電子状態計算等をおこなう必要がある。また、吸着特性は温度に強く依存する場合があるため、吸着特性評価をする際にはその温度依存性も重要な評価項目となると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、空気成分ガスとモデル構造との相互作用を可視化するために電子状態計算ができる環境をつくり、複数の結晶構造モデルに対して計算を実行することができている。また、当初の予定では次年度以降に行う予定であったMOF合成にも取り組み、その合成にも成功している。一方、計算に予想以上の検討要素が見つかり、相互作用を可視化するためには事前に入手すべき基礎計算を行う必要があることが確認された。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は以下の項目を検討し、研究概要欄で示した研究目的を達成する。 1.結晶構造から抽出した構造モデルを用いて、安定化計算を行う。それに続き、ガス分子を導入したモデルにおいても量子化学計算を行い、吸着状態を可視化する。 2.フロンティア軌道論等に基づき、構造モデルとガス分子との電子的相互作用を可視化する。 3.同ネットワーク構造を有するMOFを含む複数のMOFを合成し、酸素や窒素の吸着等温線測定を行う。 4.得られた知見を総合して酸素選択的吸着に資する吸着材の特徴を体系化する。
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Causes of Carryover |
概ね計画通りに予算を執行したが、残額は翌年度の助成金と合わせ効率的に使用する予定である。
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