2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K21250
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
築地 真也 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40359659)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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Keywords | タンパク質阻害 / 相分離 / タンパク質コンデンセート / ケモジェネティクス / オプトジェネティクス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、細胞内のさまざまなタンパク質を、一種類の小分子化合物によって、特異的かつ確実に素早く阻害することのできる高汎用的で革新的なタンパク質機能阻害技術を開発することを目的とする。そのための戦略として、本研究では、小分子に応答して標的タンパク質を内部に取り込むことのできる人工相分離タンパク質コンデンセートシステムを開発する。今年度は以下の成果を挙げた。 1)小分子に応答して標的タンパク質の取り込みや放出が可能な人工オルガネラの開発。自己集合するように設計したタンパク質と化学誘導二量化法を融合することで、FKBPでタグ付けした標的タンパク質を小分子ラパマイシンの添加によって急速に取り込むことのできる人工オルガネラ(人工タンパク質コンデンセート)を構築することに成功した。また、このシステムを改良することで、はじめは人工オルガネラ内部に隔離していた標的タンパク質を、小分子添加によって細胞質へリリースすることのできるシステムも構築した。これからのシステムを用いることで、Vavなどのシグナルタンパク質の活性をコンディショナルに制御(取り込みによる不活性化とリリースによる活性化)が可能であることを実証した。光に応答する人工オルガネラの構築にも成功し、一連の成果をJACSに発表した。 2)第二世代人工タンパク質コンデンセートシステムの開発。上記1のシステムで構築する人工タンパク質コンデンセートはゲル状の物性を示すため、標的タンパク質をコンデンセートの深部まで取り込むことが難しいという問題点があった。今回、この課題に取り組み、より流動性の高い第二世代人工タンパク質コンデンセートの創製を行った。 3)小分子誘導相分離システムの開発。上記1と2とは異なるアプローチとして、小分子添加によって人工タンパク質の相分離を誘導し、その内部に標的タンパク質を隔離するシステムの構築を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記のように、小分子や光に応答して標的タンパク質の隔離と放出を誘導することのできる人工タンパク質コンデンセートシステムを創製し、それらが細胞内タンパク質の活性制御に応用できることを実証することに成功した。人工場へのタンパク質の隔離と放出という原理は、さまざまなタンパク質の活性制御に展開できる汎用的なアプローチになるものと期待される。またすでに第二世代、第三世代システムの創製も着実に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今回開発した第一世代システムの問題点を克服した新しいシステムの開発を進め、より汎用性と実用性の高いタンパク質活性制御技術の確立を目指す。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響により実験が制限され、全ての学会がオンライン開催となったため、消耗品費、旅費、共通機器使用料が当初予定よりもかからなかった。現在、研究室は通常通り活動しており、2年目はさまざまなシグナルタンパク質の活性評価実験を進めるため(多くの試薬などを新規に購入する必要があり)、初年度の未使用額は消耗品費として活用させて頂く計画である。
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