2020 Fiscal Year Research-status Report
chemical protein knockdown using reactive small molecules
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20K21254
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
王子田 彰夫 九州大学, 薬学研究院, 教授 (10343328)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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Keywords | PROTAC / プロテインノックダウン / コバレントドラッグ |
Outline of Annual Research Achievements |
タンパク質中のシステイン残基と反応するシアナミド、アシル、ホルミル基などの反応性分子をデザイン、合成して、それらのペプチド鎖の切断能についてFRETを用いる蛍光アッセイによる検討を行った。その結果、システイン残基のホルミル化が最も効率よくペプチド鎖の切断を誘起する事を見出した。また、ホルミル化分子を用いていくつかのモデルタンパク種と反応させる事でタンパク質の切断も可能である事を明らかとした。アシル化については、アセチル基において最も切断効率が高いがアルキル鎖が長くなると切断効率は低下した。切断反応の条件についても検討を行い、溶液のpH、アミンやチオールなどの添加物の効果により切断反応が加速される新たな知見を掴んだ。 ホルミル化分子は水中での安定性が悪く加水分解を受けやすい事が問題であった。この点に関しては複数のホルミル化分子を合成して水中での安定性を評価したところ、立体的に大きな置換基をホルミル基周辺に導入する事で水中での安定性とシステイン残基に対する十分な反応性を両立できる事を明らかとし問題を解決できた。また、システイン残基のホルミル化による生じたチオホルミル基の水中での安定性を評価すると、中性水溶液における安定性は半減期にして数時間程度であり、切断反応が起こるタイムスケールと同程度であることを確認した。 以上のようにシステインホルミル化によるタンパク質のホルミル化がタンパク質切断反応にう有効である初期知見を掴んだ。システインホルミル化のタンパク質化学はこれまでに前例が無く、新規性の高い成果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までにタンパク質中システイン残基のホルミル化がタンパク質の効率の良い切断に結びつくことを見出した。この知見はこれまでに無い新しい知見でありタンパク質化学において十分に新規性の高い知見が得られたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
タンパク質リガンドにホルミル化反応基部位を組み込んだ分子を合成して、リガンドと相互作用するタンパク質のホルミル化による切断が可能であるかについて評価する。さらに、細胞などの分子夾雑系において同様の評価を行い標的タンパク質特異的な切断について検討を行う。
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Causes of Carryover |
情報収拾のための旅費を使用しなかったため、次年度使用額が生じた。翌年度に、得られた成果を公表する学会参加費用として使用する計画である。
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