2021 Fiscal Year Research-status Report
普遍的リボヌクレアーゼを介した新規バイオフィルム形成制御機構の解明
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20K21266
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小川 哲弘 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (40323480)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | リボソーム / リボヌクレアーゼ / バイオフィルム |
Outline of Annual Research Achievements |
大腸菌リボソームの不活性化に関わる因子であるRMF、HPFを、Hisタグを付加した形で大腸菌にて高発現させた後、Ni-NTAカラムを用いて個々に精製した。これら精製RMF, HPFを70Sリボソームに作用させることで、不活性型リボソーム(100Sリボソーム)を調製した。正しく100Sリボソームが形成されていることを、スクロース密度勾配遠心法を用いて確認した。ここで調製した100SリボソームをRNase Iに作用させた後、RNA分解活性をin vitroで測定した。その結果、細胞から調製したリボソームを用いて行った際と同様、100Sリボソームを作用させた際に、70Sリボソームより強いRNase I阻害活性を示した。また、70Sリボソームであっても、ある程度RNase Iに対する阻害能を示すが、翻訳中の70Sリボソームでは、RNase Iの活性をほとんど阻害しなかった。このことから、RNase Iを効率よく阻害出来るリボソームは、翻訳に従事していない分子であることが示唆された。 公的データベースに登録されていたマイクロアレイ解析の結果から、RNase I欠損株では、鞭毛および線毛合成が亢進することが示唆された。そこで、RNase Iおよび鞭毛、あるいは線毛を構成する因子の遺伝子破壊株を作製した。これら二重破壊株は、RNase I単独欠損株と比較して、低いバイオフィルム形成能を示した。このことから、RNase I欠損株における高バイオフィルム形成能には、鞭毛および線毛が関与することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度も、コロナ禍のため、実験時間が制限されたが、その中で効率よく実験を進めることで、おおよそ予定通りの実験を遂行することが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
過去のマイクロアレイ解析結果を精査することで、RNase Iが鞭毛および線毛合成を調節することが分かった。一方で、これ以外のカスケードの関与も考えられた。そこで、独自にRNAseq解析を行い検証する。 RNase Iはグラム陰性菌全般に存在する。そこで、大腸菌で明らかにしたRNase Iの役割が、これら大腸菌以外のグラム陰性菌にも共通するかを調べる。
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Causes of Carryover |
コロナ禍のため、計画していたRNAseqが行えなかった。そのため、生じた次年度使用額は、主にRNAseq解析に用いることとする。
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