2022 Fiscal Year Research-status Report
普遍的リボヌクレアーゼを介した新規バイオフィルム形成制御機構の解明
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20K21266
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小川 哲弘 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (40323480)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2024-03-31
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Keywords | リボソーム / リボヌクレアーゼ / バイオフィルム |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの成果から、不活性型リボソーム(100Sリボソーム)がRNase Iと直接相互作用し、活性を阻害するという、本研究における仮説の妥当性が示されてきた。そこで、これらをより詳細に解析するために、以下の実験を行った。活性型リボソーム(70Sリボソーム)に対し、休眠因子を作用させることで、試験管内で不活性型リボソームを調製した。そして、調製した不活性型リボソームによるRNase Iの活性阻害の程度を評価した。その結果、活性型リボソームと比較して、不活性型リボソームはRNase Iの活性をより強く阻害することが分かった。また、活性型および不活性型リボソームを試験管内翻訳系に添加し、翻訳反応を開始させた。その後、RNase Iを加えることで、両リボソームとRNase Iとの結合能を比較した。その結果、RNase Iが、翻訳伸長を行っているリボソームに対して結合しづらいことを明らかにした。また、mRNA無添加の試験管内翻訳系、すなわちペプチド伸長が起こらない系に対して活性型リボソーム、およびRNase Iを添加すると、両者は良く結合した。以上のことから、RNase Iは、ペプチド伸長を停止させているリボソームに対して高い結合能を持つことがわかった。現在、この結果を補強するために、一分子イメージングによる解析に取り組んでいる。 また、RNase Iがリボソームのいずれの部位と結合するかを明らかにするために、クライオ電子顕微鏡観察により、RNase Iとリボソームとの複合体構造を決定した(大阪大学との共同研究)。その結果、RNase Iは30Sリボソームサブユニットの特異的部位に結合することが示され、また、そのユニークな結合様式を明らかにすることが出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究仮説補強のために計画している一分子イメージング解析の条件検討が、予想以上に難航しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
現在進めている一分子イメージング解析を速やかに終わらせる。そして、RNase Iが生成する環状ヌクレオチドがシグナル因子となり、バイオフィルム形成を阻害するに至るまでの分子論の解析に取りかかることとする。
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Causes of Carryover |
実験計画当初は予定していなかったが、一分子イメージング解析を行うことで、本研究の目的が達成されると考え、現在これの条件検討を行っている。しかしこの条件検討に、予想以上の時間を要しており、本年度に実施を予定していたRNA-seqによる発現比較解析が行えなかったため、次年度使用額が生じた。この次年度使用額は、計画していたRNA-seq解析の受託解析費への使用を予定する。
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Research Products
(5 results)