2020 Fiscal Year Research-status Report
糖吸収を介した植物病原糸状菌の病原性発現機構の解明
Project/Area Number |
20K21280
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
山田 晃嗣 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(生物資源産業学域), 助教 (40587672)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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Keywords | 植物病原菌 / 糖トランスポーター |
Outline of Annual Research Achievements |
独立栄養生物である植物は、光合成により空気中の二酸化炭素から糖に炭素を固定できる。その一方で、植物病原菌などの従属栄養生物は、他の生物より有機物を摂取することでしか炭素を獲得できない。病原菌は栄養を獲得するために宿主に感染し、その栄養摂取形態を基盤とした様々な生活環を築いている。このように宿主-病原菌間相互作用の形成に関する栄養吸収の重要性は広く認知されているものの、その分子機構の解析例は非常に乏しくほぼ未解明である。そこで本申請課題では、主な目的として病原菌の糖吸収の分子機構の解析から病原性発現との関係性を明らかにすることを目指している。 農作物の病害要因は糸状菌によるものが大部分を占める。その農学的重要性を考慮し、本研究ではウリ科植物に感染する病原糸状菌であるウリ類炭疽病菌(Colletotrichum orbiculare)を用い。糖トランスポーター遺伝子の破壊解析を実施する。ウリ類炭疽病菌の糖トランスポーターは複数あり、機能重複性が予想された。そこで多重遺伝子破壊株を迅速に作製するためのツールを開発しており、現在遺伝子破壊株の作製を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ウリ類炭疽病菌を含む病原糸状菌の糖トランスポーターの配列解析を行った結果、病原糸状菌と植物の糖トランスポーターは相同性が低く、基質特異性が異なることが予測された。そこでウリ類炭疽病菌は植物が吸収しない糖を吸収することで、植物との糖吸収競合を避けていることが考えられた。CRISPR/Cas9およびCre/loxPシステムを用いたウリ類炭疽病菌の多重遺伝子破壊株の作製状況は順調である。しかし、現在までにまだ病原性の低下した変異体の単離には至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
病原糸状菌は植物が吸収できる糖とは異なる糖を吸収することで糖吸収競合を回避していると仮説をたてているが、現在までに破壊株において病原性の低下した変異体が得らえていない。そこで、グルコースやスクロースなどの植物も吸収できる糖のトランスポーターにも解析を広げるほかに、ヘキソキナーゼなどの糖代謝酵素の破壊株も進めることで病原性発現に糖が関与しているかを探る予定である。
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Causes of Carryover |
理由:本年度は研究の遅れにより、予定より少額で賄えたため次年度使用額が生じた。 使用計画:次年度は研究を加速に向けて技術補佐員を雇用するため、次年度研究費(人件費)と合わせて使用する計画である。
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