2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of sulfur proteomics technique.
Project/Area Number |
20K21283
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
榊原 陽一 宮崎大学, 農学部, 教授 (90295197)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒木 勝久 宮崎大学, 農学部, 准教授 (20647036)
服部 秀美 宮崎大学, 農学部, 教授 (80508549)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | プロテオミクス / 翻訳後修飾 / イオウ / 硫酸化 / パースルフィド |
Outline of Annual Research Achievements |
「イオウ(S)」は、酸素より巧みに軌道電子を利用することで、生体内で必須元素として高い反応性を生み出している。イオウはタンパク質中に種々の形態 で存在することが知られている。本研究ではタンパク質中のイオウに着目し、システイン残基などタンパク質ポリペプチド骨格に含まれるイオウと硫酸化など翻 訳後修飾としてのイオウを含む化学修飾に着目したタンパク質解析技術の開発とその食品科学分野での応用を目指す。タンパク質中のイオウの酸化還元状態や修 飾形態は生体の酸化ストレスやレドックスバランス、病気と密接な関係が知られる。そのため、抗酸化作用を中心とした食品の機能を活用し、タンパク質に結合 するイオウの酸化還元状態に積極的に介入して制御する技術開発を最終目的とする。これにより、新しい作用機構でイオウのレドックスバランスを標的とした機 能性食品開発につながる独創的な基盤技術の確立が可能となる。 「二次元電気泳動によるイオウ存在形態のサルファープロテオミクス解析」において、翻訳後修飾としてのタンパク質パースルフィドの特異的検出法開発を目的に、研究を実施した。タンパク質中のシステインのチオール基(SH基)にさらに硫黄が付加し、パースルフィド(SSH基)となったものをタンパク質パースルフィドという。SSH化は、普通のシステインと比べて抗酸化能や求核性が高まるため、新たなタンパク質の機能制御機構として注目されている。そこで、SH基の蛍光標識試薬CyDye maleimideを用いたタンパク質SSH化検出条件の検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
SSH化したウシ血清アルブミンをサンプルとして、既存の方法のビオチンなどによる標識の部分をCyDyeによる蛍光標識に変更すると共に、SH基の保護やSSH基の特異的な化学的性質を利用した4つの検出法を検討した。 まずSH基及びSSH基をCyDyeで蛍光標識後、SSH基部分のみをDTTで特異的に還元する条件を検討し、SSH基に由来する蛍光の減少を確認できた。 当初の予定よりも研究が進まなかったため、継続して研究を推進してサルファープロテオミクス解析技術として統合して解析できる方法として確立を目指す。
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Strategy for Future Research Activity |
SH基のみMMTSでブロッキングすることでSSH基のみを特異的にCyDyeで蛍光標識する方法では、蛍光量の増加が確認できた。今後は、これらの2つの方法について、さらなる条件の検討を行っていき、SSH化に特化した検出法として確立する。チロシン硫酸化の解析方法、SSH化の解析法など硫黄に関連した翻訳後修飾を総合的に解析できるサルファープロテオミクス解析技術の確率を目指す。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症による研究活動制限があったため、当初の計画通りに研究が推進できずに遅延が生じたため研究費の一部を繰り越した。次年度に継続して研究することで硫黄に関連した複数の翻訳後修飾の解析法を統合して、サルファープロテオミクス解析技術として確立を目指す。
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Research Products
(9 results)