2021 Fiscal Year Research-status Report
Function of primary fatty acid amides as lipid mediators
Project/Area Number |
20K21285
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
山地 亮一 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (00244666)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | 脂肪酸アミド / オレアミド / 骨格筋 / 小腸 / リンパ / 門脈 / 脂肪酸アミド加水分解酵素 |
Outline of Annual Research Achievements |
オレアミドは小腸で吸収された後、主に門脈を通して末梢血に輸送された。血中におけるオレアミドの輸送形態を検討するため、オレアミド投与後の門脈血と末梢血を密度勾配遠心法にて分画したところ、オレアミドはコレステロールを含む画分ではなく、アルブミンを含む画分に存在した。等温滴定型カロリーメトリーによってオレアミドが吸熱反応でアルブミンと複合体を形成することが明らかとなった。in vitroでの小腸透過評価モデルCaco-2細胞におけるオレアミドの透過率は非常に低かったが、脂肪酸アミド加水分解酵素FAAH1に対する阻害剤によってオレアミドの透過率は向上した。オレアミドをマウスに経口投与したところ30分後での抹消血中のオレアミド濃度は約170 μMであったのに対して、FAAH1阻害剤によって900 μM以上に上昇した。さらにオレアミドのCaco-2細胞での透過率を促進する候補となるフラボノイド類を複数見いだした。FAAH1活性に対するそれらの候補化合物の影響を評価するため、FAAH1の組換えタンパク質としてGST融合型FAAH1の発現に成功した。現在効率的かつ高純度でGST融合型FAAH1を精製する方法を検討している。さらに骨格筋細胞でオレアミドによるタンパク質合成促進に関与するタンパク質として着目しているGタンパク質共役受容体(GPCR)の一種であるGPCR候補タンパク質を高発現させたところ、オレアミドによるmTORシグナルの活性化とタンパク質合成はさらに促進し、逆にGPCR候補タンパク質の発現をノックダウンしたところオレアミドによるmTORシグナルとタンパク質合成の促進は抑制された。脂肪酸アミドの機能拡大を目指し、オレアミドが蓄積する組織を同定するためマウスに安定同位体オレアミドを投与したところ、骨格筋以外に内臓脂肪においてもオレアミドが蓄積した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ予定通りに進行中である。オレアミドの腸管吸収に関する研究成果は論文として取りまとめ、投稿中である。またオレアミドが内臓脂肪に蓄積していたことから、オレアミドが内臓脂肪量を減らすことで肥満抑制効果を示すかもしれない。当初予期していなかった結果であり、オレアミドの新規機能の展開につながる可能性がある。この検証はチャレンジングな内容であるが、次年度挑戦する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
経口摂取したオレアミドの生体利用率を上昇させるためには、小腸上皮細胞のFAAH1の活性を阻害する必要がある。FAAH1活性を阻害する食品成分を探索し、現在いくつかの候補化合物を見出している。そこでFAAH1の組換えタンパク質を利用して、それらの候補化合物とその生体内での代謝物によるFAAH1活性に及ぼす影響を評価するとともに、阻害機構についても検討する。またオレアミドとFAAH1活性阻害候補化合物とをマウスに投与することで、オレアミドの生体利用率に及ぼす影響も評価する。一方で、脂肪酸アミドの機能拡大を目指し、オレアミドが蓄積する組織を探索したところ、骨格筋以外に内臓脂肪でもオレアミドが蓄積することを見出した。運動不足は肥満をもたらし、骨格筋を萎縮させる以外に肥満を誘発する。行動範囲を制限することで活動量を低下させて飼育したマウスでは肥満が誘発されると予測されるため、オレアミドが内臓脂肪量の増加を抑制することで肥満抑制効果を有するかを評価する。内臓脂肪については量以外に脂肪細胞のサイズを測定する。またオレアミドが内臓脂肪における炎症性サイトカインの発現レベル、脂質の合成または分解に寄与する代謝酵素の発現レベルに及ぼす影響を検討する。
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Causes of Carryover |
投稿論文の掲載用の費用としていたが、現在まだ査読が継続中となったので、次年度に繰り越した。
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Research Products
(6 results)