2020 Fiscal Year Research-status Report
新規RNAリガーゼを用いた新たなRNA断片の網羅的解析法の開発
Project/Area Number |
20K21288
|
Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
岩田 雄二 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (80704965)
|
Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2022-03-31
|
Keywords | tRNAリガーゼ / 2',3'環状リン酸基 |
Outline of Annual Research Achievements |
シロイヌナズナtRNAリガーゼであるAtRLG1のクローニング、精製を行った。複数の大腸菌用発現ベクターを試した結果、N末端にHisタグ、Strepタグ、SUMOタグを付加して発現、精製した時に十分な量の精製タンパク質を得ることができた。シロイヌナズナのbZIP60 RNA断片を組換えIRE1Bタンパク質と反応させ、切断されたbZIP60 RNA断片のクローニングをAtRLG1とRNA/DNAハイブリッドオリゴを用いて行い、シーケンス解析を行った。その結果、既知のbZIP60 RNAの3'末端断片とアダプターオリゴの融合断片の塩基配列が得られたことから、調製した組換えAtRLG1が2',3'環状リン酸基を持つ3'末端RNA断片へのライゲーション活性を持つことが確認できた。一方、予定していた他の生物のtRNAリガーゼの発現精製は試行中である。 また、RNA切断断片の網羅的解析を行うため、モデルとしてGFP RNAを選定し、in vitro転写によりGFP RNA断片を調製し、AtIRE1Bにより切断反応を行い、AtRLG1の基質の調製を行った。また、植物体を用いて網羅的解析を行うための形質転換体の特徴づけを行った。具体的には、SP-GFPをDEX誘導系により発現するシロイヌナズナにジチオスレイトール(DTT)処理を経時的に行いIRE1によるin vivo切断を誘起し、DTT処理によるGFP RNAレベルとGFP蛍光が減少することが確認できた。今後、この植物から抽出したRNAとin vitro転写により調製したRNAを用いて、AtRLG1によるRNA切断断片の同定を行う。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
精製組換えAtRLG1タンパク質の調製や、それを用いたRNA断片のライゲーション反応とクローニング、シーケンス解析は予定通りに進んだため、概ね順調に進展しているといえる。一方、AtRLG1によるライゲーション反応の最適化や、シロイヌナズナ以外の生物からのtRNAリガーゼの調製が進まなかった点は来年度の課題である。
|
Strategy for Future Research Activity |
AtRLG1によるRNAライゲーション反応の最適化を行う。また、シロイヌナズナ以外の生物由来のRNAリガーゼの精製組換えタンパク質の調製も試み、活性の比較を行う予定である。また、1年目で作製したin vitroやin vivoで調製したRNAを用いて、GFP RNAなどのモデルRNAの断片のクローニング、シーケンス解析を行う。その後、形質転換シロイヌナズナを用いて、小胞体ストレスや熱ストレスなどのストレスにより生じる2',3'環状リン酸基を3'末端にもつRNA切断断片の網羅的解析を試みる。
|
Causes of Carryover |
シロイヌナズナ以外のtRNAリガーゼのクローニングが当初の予定通り進まず、タンパク質精製のためのクロマトグラフィーカラムなど関連物品の購入を今年度は行わなかったため、次年度使用額が生じた。これらの物品は次年度に組換えタンパク質の発現条件を決定する時期に購入予定である。
|