2020 Fiscal Year Research-status Report
脂肪酸合成律速酵素ACCのポリマー化による活性制御機構の解明と阻害剤開発への応用
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20K21292
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
井上 順 東京農業大学, 応用生物科学部, 教授 (70323962)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | ACC / ポリマー化 / 脂質代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、アセチルCoAカルボキシラーゼ(ACC)活性制御機構を明らかにし、余剰エネルギーを脂肪として蓄積する分子機構の解明を目指すと共に、ACC二量体やポリマーの構成因子の同定・解析を行うことで、小分子化合物(食品成分や医薬品)によるACC活性制御実現に向けた新たな方向性を提示することである。 本年度はACCポリマー化を促進することが知られているMIG12とACCの結合領域について検討を行い、結合に必須なそれぞれの領域の同定を行った。その結果、MIG12のC末端側に存在するロイシンジッパードメインを変異させることでその結合が大きく減弱することを示した。さらにMIG12はホモダイマーを形成することが報告されているが、ロイシンジッパードメインを変異させることにより、ホモダイマー形成も大きく低下することから、このドメインはACCとの結合およびホモダイマー化に必須であることが明らかになった。さらに、ACCの部分欠失体を用いたMIG12との結合検証を行った。その結果、ACC活性に必要な3つの領域(BC, BCCP, CTドメイン)ではなく、N末端側のBTドメインの欠失は両者の結合を減弱させることを明らかにした。 次に、不活性化ポリマー形成を促進することが報告されているBRCA1のクローニングを行い、今後の検討のための準備を行った。現時点では、発現プラスミドの作製・発現確認まで完了している。 また、ACC新規結合タンパク質の同定を行い、複数の候補因子を見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の目標は概ね達成出来ており、来年度に向けた準備についても進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度はACCやMIG12組換えタンパク質を大腸菌もしくは昆虫ウイルスを用いて作製し、その結合様式やポリマー化制御について検討する。また、他の研究グループにより報告されているBRCA1によるACCポリマー化亢進について、その再現性も含めて検討する。
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Causes of Carryover |
都内の緊急事態宣言に発出による、実験スケジュールの遅延に伴う支出の低減のため。来年度には、昆虫ウイルスを用いたACCタンパク質の合成を目指す。
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Research Products
(1 results)