2020 Fiscal Year Research-status Report
Mitigating N2O emission from agricultural soils with fungivorous mites
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20K21303
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
妹尾 啓史 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (40206652)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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Keywords | 一酸化二窒素ガス / 畑土壌 / 菌食性土壌動物 / 糸状菌脱窒 / 発生削減 |
Outline of Annual Research Achievements |
「菌食性土壌動物が土壌中のN2O生成微生物を摂食することによって土壌からのN2Oガス発生を低減している」ことの再現性を圃場において検証した。畑圃場の土壌に有機質肥料を施用し、菌食性土壌動物の住み家となる植物系繊維を混合した。経時的に土壌を採取してツルグレン装置を用いて土壌動物を抽出し、土壌動物の個体数と群集組成を調べた。また、土壌DNAを抽出して定量PCRにより糸状菌の定量を行った。一方、土壌からのN2O発生量をチャンバー法により調べた。 有機質肥料の施用後に、菌食性土壌動物の個体数が増加した。この時、植物系繊維を施用した区において施用しない区よりも顕著な増加が見られた。有機質肥料の施用は菌食性土壌動物の群集組成に著しい変化をもたらした。植物系繊維の施用は群集組成に大きな変化を与えなかった。 有機質肥料の施用によって土壌の糸状菌量が増大したが、植物系繊維を施用した区においては、無施用区よりも糸状菌量は有意に少なかった。 N2O発生量は植物系繊維の施用区において、無施用区よりも有意に減少した。 以上の結果から、菌食性土壌動物が土壌中のN2O生成微生物を摂食することによって土壌からのN2Oガス発生を低減していることが圃場において再現された。植物系繊維の土壌への施用が菌食性土壌動物の個体数を増加させてN2O生成微生物を減少させ、N2O発生削減につながることが示された。 この成果は、農耕地土壌からのN2O発生削減技術につながり、地球温暖化の緩和に貢献することが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
補助事業期間中の研究実施計画の二つの項目のうちの一つである圃場試験をほぼ計画通りに実施することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
補助事業期間中の研究実施計画のもう一つの項目である室内系試験を実施する。
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Causes of Carryover |
消耗品の発注が遅れたため。次年度に購入する。
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