2022 Fiscal Year Annual Research Report
体表ワックス成分変動で生じる共食い行動の分子メカニズムの解明
Project/Area Number |
20K21304
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
永田 晋治 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 教授 (40345179)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | 昆虫 / 共食い / 体表ワックス |
Outline of Annual Research Achievements |
フタホシコオロギのCHCの組成が個体認識のメカニズムを明らかにするためにおこなった成果として、本研究目的の①~③の各項目それぞれについて以下に記す。 ①令和4年度では、フタホシコオロギにおけるCHCの生合成経路にかかわる伸長酵素、不飽和化酵素、還元酵素、脱炭酸化酵素および脂肪酸のトランスポーターFATPをコードする遺伝子の各サブタイプを網羅的に割り出し、その中でCHCに関わるものを決定することが目標であった。FASには3種類、P450は約130種、ELOVL酵素は13種類、FATPは3種類のサブタイプがあることが分かった。GCMSがヘリウムガスの世界的な枯渇が原因で、CHCに関わるものは未だ同定するに至っていないが、アミノ酸配列の相同性から他の昆虫種で同定されているCHC生合成酵素と類似酵素は見出されている。また、RT-PCRによる組織別発現解析から、体表や翅で発現されるもの、雌雄差があるものなど、非常に興味深い結果を得ている。 ②令和4年度では、LPGやPGDを投与することにより自然免疫系に関わる因子群が転写レベルで変動することが確認できた。このことが共食いにどのような影響を与えているかは現在検討中である。 ③共食いが孵化後数日のコオロギでも観察できることが令和3年度までに見出されていたため、孵化後の幼生を用いることで共食いの検定系の簡便化を図った。共食いの中には体サイズの異なる個体が同じ空間に居住する際に小さい個体が共食いされやすい性質から、孵化後数日から10日後の幼虫の組み合わせにより共食いを再現することが可能となった。この検定系によりさらに共食いとCHCの関連性が見出されることが期待される。
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Research Products
(10 results)