2022 Fiscal Year Research-status Report
わずかな傾きがイネの受粉を不安定にし,高温不稔を助長する仕組みを画像で解明する
Project/Area Number |
20K21308
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
松井 勤 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (70238939)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2024-03-31
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Keywords | イネ / 受粉 / 安定性 / 穂の傾き / 不稔 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究により,穂の傾きが受粉の安定性と稔実に大きな影響を与えることを発見した.これは,葯と柱頭の位置関係や葯からの花粉放出のタイミングのわずかな違いが受粉の安定性に強く影響することを示唆している.本研究の目的は,圃場条件や高温条件において,穂の傾斜がどの様にしてイネの受粉・受精が不安定にするのか,その仕組みを実証的に示すことである.3年目に当たる昨年度は傾斜させた花の開花の様子を静止画および動画によりとらえ,直立時と傾斜時の花粉が落ちるタイミングと柱頭と葯の位置関係の違いを明確にすることを目的として実験を行った.これまで2年間の観察から,花の傾斜に対する受粉の安定性の反応,および,撮影の観点から,IR72が最も撮影に適していると考えられた.そこで,供試品種をIR72に絞り,4月下旬よりいくつかの作期に分けて8月中下旬に連続的に開花するようにIR72の趣旨を播種・育成した.5葉期に5000分の1アールのポットに移植し,開花期まで屋外において栽培した.新型コロナの流行にもかかわらず,順調に供試材料の育成を進めることができたが,8月10日および8月18日に研究代表者の家族にコロナ陽性者が発生し,自宅待機を余儀なくされ,それぞれにその後の6日間,観察・撮影を十分に行うことができなかった.残された期間で,デジタルカメラとデジタルマイクロスコープによる撮影を試みたところ,カメラ・スコープの三脚・架台の強度が十分でなく,特にデジタルマイクロスコープの3D画像合成のためには架台の強化・改良が必要と考えられた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナに関連した自宅待機のために,実験の機会を逸し,昨年度の最重点課題であった開花・受粉の画像記録が遂行できなかったため.
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Strategy for Future Research Activity |
本年は,昨年遂行できなかった,傾斜させた花および直立した花の開花の様子を静止画および動画としての撮影を行い,直立時と傾斜時の花粉が落ちるタイミングと柱頭と葯の位置関係の違いを明確にすることを再び試みる.供試品種に,あきたこまちを加え,IR72とあきたこまちの2品種を対象とする.早生品種のあきたこまちを加えることで,開花の観察期間を長くする.これによって昨年度のように,撮影ができない期間が生じても対応が可能となる.
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Causes of Carryover |
研究期間中の最も重要な観察時期に研究代表者の家族に新型コロナ陽性者が発生し,研究の大部分を中止せざるを得なかった.このため,研究の大部分を中止し,翌年度改めて実験を行うこととした.そのために次年度使用額が生じた.本年度は,昨年度遂行できなかった,傾斜したイネの花の開花の撮影を行い,実験の遂行,データ収集,および,とりまとめに,生じた次年度使用額を用いる予定である.
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