2023 Fiscal Year Annual Research Report
わずかな傾きがイネの受粉を不安定にし,高温不稔を助長する仕組みを画像で解明する
Project/Area Number |
20K21308
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
松井 勤 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (70238939)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2024-03-31
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Keywords | イネ / 受粉 / 安定性 / 穂の傾き / 不稔 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年には,ポット栽培したイネ品種IR72に対し傾斜処理×群落内での高さ処理を施し,イネの傾きが受粉および稔実に与える影響を検討した.2021年度には,3年間にわたり中国で栽培した水稲12品種について,穂の傾斜角度と受粉の安定性,稔実との関係を検討した.いずれの場合も傾斜により受粉が不安定となり稔実率が低下した.受粉の安定性と稔実との間には密接な関係が認められ,植物体と穂の傾きは受粉の何帝政の低下を通じて稔実を低下さえることが確認できた. 2023年度は,傾斜処理による受粉の不安定化の原因をデジタルマイクロスコープとデジタルカメラによる撮影で明らかにしようとした.デジタルマイクロスコープを使用した3D撮影では,架台の強度に問題があることが明らかとなった.デジタルカメラの撮影は新型コロナの影響で実現できなかった. 2024年度は,これまでの実験に基づき,デジタルカメラでの撮影によって傾斜が受粉の安定性に与える仕組みを明らかにすることに的を絞った.市販のデジタルカメラとマクロレンズを組み合わせ,鉛直,水平の二方向からあきたこまちおよびIR72の開花を撮影し,開花時の葯,柱頭の位置関係と受粉の安定性との関係を検討した.その結果,受粉の安定性は柱頭と葯の裂開口とのなす鉛直からの角,日最高気温,お天気によりよくあらわされることが示された.このことから,穂の傾斜によって,柱頭の位置が葯の基部の裂開の鉛直方向からずれることにより受粉が不安定になると考えられた.
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