2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of DNA methylation-resistant promoter for long-term stable expression in horticultural plants
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20K21318
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
三柴 啓一郎 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (70390888)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | DNAメチル化 / 遺伝子導入 / プロモーター / リンドウ / レタス / タバコ |
Outline of Annual Research Achievements |
非モデル植物では、遺伝子導入が困難なことや導入遺伝子の発現が減衰することがしばしば問題になるが、本研究では「DNAメチル化の遮断により遺伝子発現の減衰を防ぐ」という方法論に基づいた、DNAメチル化抵抗性プロモーターの開発を目的としている。研究代表者はこれまでに、植物の形質転換で広く利用されている35Sプロモーターの配列に特異的なDNAメチル化を伴った発現抑制が、リンドウやレタスで起きること、また新規メチル化が顕著に生じる領域がエンハンサー領域の一部(-298~-85)であることを見出している。一方モデル植物であるタバコでは、35Sプロモーターの全長を導入した場合には発現抑制やメチル化は認められない。 本年度の研究では、上述のエンハンサー領域214塩基(-298~-85)のみを導入した組換えリンドウやタバコを用いて、この配列がDNAメチル化の誘導に与える影響について調査した。その結果、組換えリンドウでは導入した214塩基で顕著な新規DNAメチル化が誘導されていることを見出した。興味深いことに、組換えタバコでも214塩基でリンドウよりは低頻度であるが、導入した214塩基で新規DNAメチル化が検出された。 これらの結果から、35Sプロモーター全長を導入したタバコでは何らかの要因によりDNAメチル化の誘導が阻害されているが、214塩基のみを導入した場合は阻害される要因が抑制されて低頻度のDNAメチル化が誘導されることが示唆された。今後はDNAメチル化誘導に関わる配列の同定を進めるとともに、DNAメチル化を誘導する因子の探索を試みたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度はコロナ禍のために、研究の推進が一時中断されてしまった。組換え植物の作出については概ね順調に行われたが、組換え植物に導入された外来遺伝子のコピー数解析やDNAメチル化解析は目標よりもやや遅れてしまった。 また年度の途中に研究代表者の他機関への転出が決まったために、研究に対するエフォートが予定よりも低下してしまったことも進捗が遅れた要因の一つであると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
研究代表者の転出により、研究環境の再構築を速やかに進めることが求められる。研究基盤が整備された後に、組換え植物の作出や、DNAメチル化解析を進めていきたい。またこれまでの研究成果を踏まえて、DNAメチル化が生じにくい改変プロモーターの配列の検討を進めてベクターの構築とリンドウやレタスなどの植物への導入を進めていく。
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Causes of Carryover |
コロナ禍で実験の進行が遅れたため、必要な消耗品費の支出が想定を下回った。また研究代表者の他機関への転出が決まったため、次年度での研究体制構築のための費用を捻出するために本年度の予算使用額を減らした。
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Research Products
(1 results)