2022 Fiscal Year Research-status Report
細胞老化の視点から切り拓く樹木の心材形成研究の新展開
Project/Area Number |
20K21327
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
半 智史 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (40627709)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安江 恒 信州大学, 学術研究院農学系, 准教授 (00324236)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2024-03-31
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Keywords | 放射柔細胞 / 細胞老化 / 心材形成 / スギ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、辺材年輪数が大きく異なるスギ等の個体を選抜し、それらから得られた寿命が大きく異なる放射柔細胞について、分化開始から死に至るまでの期間を相対的に分割したものについて比較解析をそれぞれ行い、共通した変化を抽出することで放射柔細胞の老化に特徴的な変化を明らかにするものである。新型コロナウイルス感染拡大のため、今年度も当初計画していたような辺材年輪数が大きく異なる個体の試料採取が実施できなかった。したがって、本年度は主にスギを用いて、次年度以降の解析を実施するための観察条件の検討などの準備を行った。特に、光学顕微鏡での検出が難しい細胞小器官の微細構造の変化を明らかにすることを目的として、広範囲かつ高分解能での観察が可能である準超薄切片の電界放出形走査電子顕微鏡(FE-SEM)を用いて、スギの辺材中における放射柔細胞の細胞小器官の放射方向における変化の観察を実施した。スギの白線帯において細胞小器官における変化が最も大きかったが、白線帯よりも外側においてもわずかながら変化が観察された。特に、白線帯よりも外側においては、液胞内の顆粒状の構造物が辺材外層では多く蓄積されているものの、辺材の内層において減少する様子が顕著であった。また、白線帯において、放射柔細胞中の液胞が大きくなっていた。さらに、辺材中のどの部位においても、液胞中に細胞小器官の分解残渣のようなものが観察された。この観察結果からは、放射柔細胞においてオートファジーが起こっており、液胞にて細胞小器官が分解されている可能性が考えられる。以上のように、スギ放射柔細胞の放射方向における細胞小器官の変化について、今後の解析において重要な基礎知見を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染拡大のため、計画していた試料採取が実施できなかった。したがって、本年度はスギを中心として、解析を実施するための解析方法の検討と基礎知見の収集を進めた。
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Strategy for Future Research Activity |
計画通りの試料採取が実施可能となったため、採取のための準備を進めている。得られたサンプルについて、昨年度までに検討した手法にて解析を実施する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大により、計画していた試料採取が実施できなかったため、当初計画していた解析を実施することが出来なかった。次年度においては当初計画していたような辺材年輪数が大きく異なる試料の採取を実行し、これまでに予定していた実験を今年度検討した解析条件に基づいて遂行する。
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Research Products
(8 results)