2021 Fiscal Year Research-status Report
Challenge for blow molding of wood and paper
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20K21331
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
野中 寛 三重大学, 生物資源学研究科, 教授 (90422881)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2024-03-31
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Keywords | 木粉 / HPMC / クエン酸 / 湿式押出成形 / 中空成形 / ブロー成形 / バイオマス / プラスチック代替 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者は,木粉,竹粉,紙粉などをセルロース系増粘剤と水を混練し,押出成形により成形ができる「オールバイオマス素材」の開発を進めてきた。この素材は水を可塑剤とする粘土状素材であり,常温で押し出すことができ,乾燥により成形品が出来上がる。押出成形後,空気の注入で膨らみ,その状態で固めることができれば,原理上木や紙の中空成形が可能となる。昨年度は,柔軟剤としてグリセリンを加えて,「オールバイオマス素材」に柔軟性を付与することを検討した。乾燥後に得られる成形品には柔軟性が付与され,シートの巻取り成形などに成功したものの,乾燥前素材の「膨らませやすさ」にはあまり寄与しなかった。そこで本年度は,風船ガムやスライムのような湿潤状態で膨らませる素材に着想を得ることにした。風船ガムには酢酸ビニル樹脂,スライムにはPVA(ポリビニルアルコール)にセルロース系多糖が配合されたものが多く,後者を参考にすることとした。PVAに,カルボキシメチルセルロース(CMC),または,ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)を所定量配合した水溶液に木粉を加えて混練した素材は膨らまなかった。これに対し,ホウ砂を添加すると,急激に伸び性を発現し,空気を注入したとき膨らむことを見出した。これらの素材について,レオメータを用いて粘弾性測定を行ったところ,CMCとHPMCを用いた素材ではそれぞれ特性が異なり,HPMCの方が膨らませる適性があることが明らかとなってきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
スライムの成分を参考に,木粉,PVA,セルロース誘導体,ホウ砂の組み合わせで伸びることを発見し,粗いながらもボトル状の形状を作ることにも成功し,大きな進歩を遂げたため。
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Strategy for Future Research Activity |
現在は粘土状素材を球状に丸めて,中央にパイプを挿入して,空気を圧入し膨らませる実験を行っている。しかしこれでは実験にばらつきがあり,均一に膨らむ素材の選定が難しいため,研究室所有のエアープレス等を用いて,筒状の湿式パリソンを押出成形する。得られたパリソンの膜厚均一性を評価し,空圧で膨らませる実験系を早期に確立すべきと考えている。素材の含水率は押出成形性のほか,成形後の伸び性にも大きく影響すると予想され,まず含水率をコントロールしたパリソンを調製し,空気の圧入を試験する。その際の伸び性,破れにくさをもとに,木粉量を増やした組成にチャレンジしていく。次いで,HPMC量やホウ砂量の微調整をしていく。最終的には木粉50重量%以上を含むボトル形状の製作を目指す。
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Causes of Carryover |
国内学会発表に20万円,海外学会発表に20万円を計上していたが,コロナ禍により前者はすべてオンラインになり旅費を使用せず,後者もオンラインとなり参加エントリーをしなかったため。またR4年度に特注を予定している中空成形検証装置(100万円)のコスト増が見込まれ,R3年度の各種経費を抑えて,R4年度にまわす判断をした。
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Research Products
(5 results)