2021 Fiscal Year Annual Research Report
漁業者と共に海を耕す「海底耕耘」の科学的エビデンスに関する研究
Project/Area Number |
20K21336
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
小池 一彦 広島大学, 統合生命科学研究科(生), 教授 (30265722)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小原 静夏 広島大学, 統合生命科学研究科(生), 助教 (10878276)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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Keywords | 瀬戸内海 / 漁業 / 海底耕耘 / 植物プランクトン / 牡蠣養殖 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は2021年5月に広島湾北部で海底耕耘を行った。耕耘は、7~9隻の漁船を使用し、一片2.4 m程度の三角形のフレームに爪のついた鉄製耕耘具を引きずる方法で行われた。耕耘後に水深10 m以深の三態窒素(10 m;1.61 umol Mから6.47 umol Mへ)とリン酸態リン(10 m;0.17 umol Mから0.66 umol Mへ)の増加が見られた。水深0 mから6 mにおけるchl. aの平均は耕耘前の3.72 ug/Lから耕耘直後に5.18 ug/Lに上昇した。加えて、耕耘5日後には7.74 ug/Lへと上昇した。この時、水深6 m以浅のFv/Fmは耕耘前に0.39だったが、耕耘直後に0.54に上昇した。この高活性は耕耘5日後においても持された。水深3 mのchl. aの増加に伴って、珪藻類が70 cells/mLから1,041 cells/mLへと増加し、Skeletonema属(44%)とPseudo-nitzschia属(24%)で占められた。何れの年度でも、耕耘前から存在していた鞭毛藻類が引き続き出現する例もあったが、耕耘によるこれら鞭毛藻類の増加は認められなかった。 海底耕耘の効果を連続して与える海底水揚水装置を試作し、それを安芸津の牡蠣筏に設置した。およそ3ヶ月後には装置設置区の養殖牡蠣の個体重量は、装置を設定していない対照区のそれと比べおよそ20%の増加が見られた。
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Research Products
(2 results)