2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K21338
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
智和 正明 九州大学, 農学研究院, 准教授 (30380554)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内海 泰弘 九州大学, 農学研究院, 准教授 (50346839)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | シカ / ナトリウム / 草食動物 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年,日本ではニホンジカの個体数が急増し,農林業被害は甚大であるが,解決の見通しが立っていないのが現状である.本研究は,シカを含む植食動物はナトリウム不足になりやすいことに着目し,1) シカはナトリウム不足になりやすいのか?,2) シカはナトリウムをどこから得ているのか?という問いに答えることを目的とする.本年度は,以下の点を明らかにした. 環境試料中のナトリウム分析 北海道道東部において,堆肥(家畜ふん堆肥)の水中に含まれるナトリウム濃度を計測した.比較対照として,近隣の森林土壌中の水中ナトリウム濃度も計測した.水の採取には土壌水採取装置を用い,土壌水採取装置を採取日前後に設置・回収した.採取は7月から9月にかけて4回程度行った.各サイトの繰り返し数はそれぞれ3である,測定の結果,いずれの計測においても堆肥の水中に含まれるナトリウム濃度は,森林土壌水と比較して100倍程度高い値を示した.平均濃度は約6 mMであり,この値は,報告されている塩場でのナトリウム濃度(35 mM)と比較すると低いものの,シカの飲水行動が頻繁に撮影されているヌタ場のナトリウム濃度(1.8 mM)に匹敵していた.このことから,家畜ふん堆肥はナトリウムの供給源になりうるほどナトリウム濃度が高いことがわかった.また,堆肥の水中に含まれるナトリウムの起源を解析するために,イオン成分濃度の相関分析を行った結果,ナトリウム濃度はカリウム濃度と相関が強く,それ以外の成分とは相関は弱いことがわかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験計画として予定していた堆肥中のナトリウム濃度の計測を実施できた.
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Strategy for Future Research Activity |
堆肥中のナトリウム濃度の計測については,春先の雪解け時を含めたナトリウム濃度の季節変化を解析する.さらに他の環境試料中のナトリウム濃度の分析として,凍結防止剤の散布された雪や草本類を採取しているので,今後はこられの採取された試料の分析を行いたい.
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Causes of Carryover |
令和3年度に,植物試料中ナトリウム分析を行う予定であったが,当初計画していた分析方法では過小評価することが判明したため,計画を変更し,次年度に行うこととしたため,未使用額が生じた.このため,ナトリウムの分析を次年度に行うこととし,未使用額はその経費に充てることとしたい.
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