2022 Fiscal Year Annual Research Report
Rotifers as live food for fish larvae: resting egg formation for various rotifer strains
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20K21340
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
萩原 篤志 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科(水産), 特定教授 (50208419)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金 禧珍 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科(水産), 准教授 (10823437)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | ワムシ類 / 休眠 / 耐久卵 / 遺伝子解析 / 保存 |
Outline of Annual Research Achievements |
遺伝的に異なる複数株のシオミズツボワムシ複合種Brachionus plicatilis sp. complex(以下ワムシと略)と、体長50-100 umの超小型ワムシProales similisを対象とした。ワムシは単性生殖によって増殖する。強い耐久性を示し、保存手段として有用なワムシの耐久卵は、複数のステージで構成される両性生殖の最終形成物である。シオミズツボワムシには遺伝的に異なる株によって耐久卵をつくらない現象が知られている。その理由を探るため、単性生殖に比べ、両性生殖は悪環境の影響を受けやすいことから、水生動物に毒性を与える非解離アンモニア濃度がワムシの両性生殖発現に与える影響を検討した。その結果、両性生殖誘導率、受精率、耐久卵形成数はいずれも非解離アンモニア濃度の上昇と共に低下し、特に1.1mg/L以上では劇的に低下した。このとき温帯性よりも熱帯性ワムシが強い耐性を示した。非解離アンモニアの増加に伴って熱帯性ワムシは抗酸化作用の活性化と脂質合成が促進され、環境ストレスに対し強い防御機構を備えていることが分かった。これと同様の傾向が鉄および亜鉛化合物の曝露でも見られた。耐久卵を形成しないワムシ株の両性生殖誘導に関連するdc42P遺伝子の発現を3株のワムシについて求めたところ、耐久卵を形成しないワムシでは、良好な環境下でもdc42P遺伝子はほとんど発現せず、耐久卵形成を誘導しにくい性状を遺伝的に有していることが明らかになった。次に超小型ワムシのP. similisでは、両性生殖誘導の報告例がないことから、分離性の単性生殖卵に着目して性状を調べた。その結果、単性生殖卵に低温処理(4℃)や高塩分処理(塩分60-90)を施すことによって、10日間保存が可能で、常温に戻すと孵化し、正常に増殖することを確認した。
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